礼

ヨエコ (倉橋ヨエコ)

売る気があるとは思えないこのジャケット。聞き手を選んでいるのか、良く見せたい心理がないのか、どうやら後者らしいが、内容はホンモノ。当たり前のことですが、作者のどうしようもなく湧き上がってくる苦しい・嬉しい・醜い・美しい心の噴出に触れたときに聞き手は共鳴し、救われ、癒される。こんな純粋培養の芸術家がこのアルバムで世に出たことを知らずに埋もれさせたら後世の恥になります。みんな倉橋ヨエコを聞きましょう！

思ふ壷

ヨエコ (倉橋ヨエコ)

後のアルバムで中毒になってから聞いたため『思う壺』はヨエコ節模索中という感じがした。でも、彼女の和風というかレトロモダンな色は、私たち日本人の根っこから素直に汲み出したもので作品を染めているだけであることは、歌詞の中に恥ずかしい外国語が一切ないことでも良くわかる。(後にシャバダバは言い出すが)それだけでも聞いていて心地良い。

婦人用

ヨエコ (倉橋ヨエコ)

｢男が買ったらいけないの?｣と思ってしまったが、帯にはちゃんと｢最近壊れ気味の殿方、御婦人方に是非お勧め｣と書いてあり、壊れ気味の私めは大いに安心して購入。ジャケットセンスはアップしましたが、ネーミングは相変わらず独特。曲名憶えづらいし、ツアー名と言ったら･･･。本質のある人って飾りにこだわらないものですが、もうちょっと売り易さは考えても良いと思いますよ。倉橋さん。

人間辞めても

ヨエコ (倉橋ヨエコ)

タイトル通り、脳天から股間まで真剣でもって一刀両断にされる。一切が変化球なしの直球勝負に、もう「ぐゎっ! や･ら･れ・たぁー」という感じ。大音量で聞くほど不思議な爽快感に苦悩できます。キワモノではなく自分をさらけだして、これだけの楽曲作品をつくることのできるアーティストは日本にはほとんど絶無と言って良い。倉橋ヨエコは絶滅危惧種です。

モダンガール

ヨエコ (倉橋ヨエコ)

ジャケットで売ろう、などという発想はあまりないようですが、中身はのっけの『恋の大捜査』から、ファン一番人気らしい『流星』まで、アタック連続で、寸分の虚飾もない質実剛健なつくりです。「日本にこんなアーティストがいて良かった!」と思える最高のアルバム!

ただいま

ヨエコ (倉橋ヨエコ)

世間に打ちのめされ、社会に押し潰されそうな人はこのアルバムから【開き直りパワー】をもらえる(ライブではもっともっともらえる)。『卵とじ』は倉橋作品としては少数派(!?)の軽快ソングで｢みんなのうた｣向き。広く受け入れられそう。『線を書く』『春の歌』は｢こんな歌、あって欲しかったんだ｣と誰もが思うはず。押し付けがましくなく、心の奥底に響いてくる彼女のスタンスが大好き。私もそろそろ元気が出そう。

損と嘘

ヨエコ (倉橋ヨエコ)

『損と嘘』は恋する女の妄想列車が大爆走するというPVも見るとわかりやすい。よく｢問題作｣と評される彼女の作品ですが「人の心に渦巻く妄念を極大化し、音楽に結晶化することは本当に無害なのか」ということでしょう。妄念の生みの親が倉橋ヨエコという真摯なアーティストであり、その土壌が「ドＭ」である限り、多くのウツ気質の日本人には彼女の歌声が【究極の癒し】または【救いの劇薬】となるに違いありません。