狂気 50周年記念SA-CDマルチ・ハイブリッド・エディション＜完全生産限定盤＞

Pink Floyd

価格からＳＡＣＤにマスターテープ級の音質を期待したが、従来盤のCDにも劣る程度でしかなくがっかり。そうするとこの値段は高すぎる。サラウンド再生では少しは楽しめるのかもしれないが、オリジナルの４ｃｈとは異なるのかもしれない。当初ＬＰで聴いたときのインパクトからは程遠かった。

ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第30番～第32番

マウリツィオ・ポリーニ

４０年以上の歳月を経た待望の再録音がどのような演奏になるか興味津津であったが、前回の超絶的演奏に比較するとまるで別人。使用楽器と録音の違いによる差も大きいが、鋼のような強靭さと緊張感にあふれた正確無比な前回録音とはうって変わってよくいえば人間味あふれる、曲の持つ味わいを自然に表現した演奏。以前の録音と比較しない限りこれもまた優れた演奏ではある。ポリーニといえども自身を超えるのはやはり難しかったか。

ヒラリー・ハーン・プレイズ・バッハ～無伴奏ヴァイオリンソナタ第1番&第2番、パルティータ第1番

ヒラリー・ハーン

同じ無伴奏３曲を弾いたデビュー盤に感動して、残りの３曲を待ちわびた結果、なんと２０年ぶりとなる満を持しての登場に感謝。この間奏者として成熟を重ね、ソナタ第１番の冒頭から深淵な世界に引き込まれる。一音一音に耳を澄ませたくなる演奏だ。フーガの荘重さは多くの演奏にあるように音がきれぎれにならず、ひたすらバッハの音楽を奏で、ヴァイオリン全体がよく鳴っている。何度でも聴きたくなるすばらしい演奏の誕生である。