このアルバムはO'JAYSの全盛期である75年11月に発表されたPIR時代通産5枚目の大ヒット作品であり「I LOVE MUSIC」「STAIRWAY TO HEAVEN」と言った現代まで長く語り継がれている彼らの名曲をふんだんに収録している贅沢なアルバムです。フィリーソウル全盛期だけあってエディ・リヴァートとウォルター・ウィリアムスの絶妙な掛け合いのヴォーカルはさすが!と言う他何も言うことはないでしょう。しかし悲しいことにこのグループを影から支えてきた1958年結成時からのメンバーであるウィリアム・パウエル(William Powell)が病の為このアルバムを最後に戦列を離れ77年5月26日に35歳の若さで亡くなってしまいます(翌76年からはサミー・ストレインが後任として加入、91年まで在籍)。もうひとつフィリー近辺の出来事としてMFSBがこのアルバムを含め75年を最後に新生MFSBとSALSOUL ORCHESTRAとに分裂してしまう事です。DRUMのアール・ヤングが中心となって更なるGROOVEを追求するバンド「トランプス」を本アルバム発表の数年前に結成してその後同時進行という形で活動を行っていましたが76年からSALSOUL ORCHESTRAに活躍の場を完全に移して行ってしまう為、アール・ヤング在籍のMFSBは75年内に製作された作品が最後の活躍になってしまったこともこのアルバムの重要な聴き所ではないでしょうか?全体を通して聴いてみると熟成されたバラードが中心となっていて単なる寄せ集めのヒット曲集ではなく人類の共存そして戦争や差別のない平和な社会への祈願など現代にも通じる内容を持った奥の深いフィリーソウルの作品であることがわかります。O'JAYS及びフィリーソウルの入門用作品としても最適な作品です。
そして今回の再発にあたり1977年に発売されたPhiladelphia Classicsに収録されていた「I Love Music 」のTom Moulton Mixもボーナストラックとして収録されております。