メンバーズレビュー一覧

pullenさんが書いたメンバーズレビュー

  • 1

(全7件)

僅か24才で世を去ったブーランジェの作品は少なく,録音も充分ではない。本CDは彼女の代表的な傑作を収めたもので,貴重な選択肢を供しているものの,演奏に関しては疑問符を禁じ得ない。ブーランジェの真価を知りたい方は本盤ではなく,仏Timpaniから出ているストリンガー(指揮)ルクセンブルク放送盤をお薦めする。

0

アメリカ人として史上初のローマ大賞受賞者となった作曲家ハンソンは,シベリウスの影響下に,色彩感溢れる和声感とがっちりとした構築力,ロマンティックな旋律を巧みに組み合わせた作風を得意とした。代表作にして最高作の2番を含むこの盤は,米近代の発掘に奔走するシュワルツの至芸に支えられた名演奏盤。アメリカ版ジョンゲンの体で溜飲が下がる。

0

Casadesus - Complete Works for Violin / Gearhart, et al

5:
☆☆☆☆☆
★★★★★

前世紀前半を代表するピアノ界の巨匠が,実は69作品を書いた作曲家であることは知られていない。本CDは,自作自演を除いてはおそらく初めてカサドシュ作品に光を当てた発掘企画。ときに六人組的な表情も持つカサドシュだが,本CDの作品はどれも印象主義の顕著な影響のもと,フォーレやラヴェルに通じる典雅な表情と,リフを利かせた技巧的な面とを程良く同居させている。小型グリュミオー彷彿の演奏も秀抜。ぜひ再評価を。

0

Winter In Venice

E.S.T.

5:
☆☆☆☆☆
★★★★★

スウェーデンのピアニスト,エスビョルン・ソヴェンソンが1996年に録音した紛れもない代表作にして傑作。全編を貫く壮大なコンセプション。キースの影響下にありながら,ファンクやロックのテイストも独自のアプローチで消化した同時代性,圧倒的な技巧と秀抜な録音。全てが完璧に噛み合った名作と断言して良いと思われる。

0

六人組として知られるミヨーはストラヴィンスキーの影響下に,オドロオドロシイ作品を量産したが,後年はロマン派的な傾向が増し,優れて叙情的な作品を多く遺している。仏の職人プラッソンが残した本盤は,6,7番を収めた姉妹盤と並ぶミヨー演奏の金字塔。南仏の穏やかな陽気を思わせる開放感と,健康的な叙情をプラッソンの指揮棒が丹念に描いた秀作。

0

ラヴェル自身も,急遽作曲したためかあまり触れたがらない『序奏とアレグロ』はしかし,シュミットの『ロカイユ趣味の曲』と並び,古典趣味と近代的な和声が幸福に和合した名品。数多ある演奏中もっとも均整がとれ,のびやかで美しい演奏が堪能できる本CDは,過小評価の作曲家クラの最高作が聴けるというおまけまで付いている。

0

シュミットの弟子フェルーは,36才で事故死したため作品僅少で過小評価されている鬼才。ドビュッシー作品集で至芸を発揮した仏の若き至宝クリヴィヌの魔術的なタクトが,新古典的な様式美と緊密な和声感覚に満ちたその世界を余すところなく暴き出す畢生の名品!

0
  • 1

(全7件)