ヴァイオリニストでありキーボーディストでもあるHONZIのファーストアルバム。
もともと流通量が少ないのか、CDを入手するのが難しく、昨年やっとサブスクでリリースされた本作。今回新たにアナログ盤で発売されることを知り購入した。
フィッシュマンズのサポートメンバーとしても広く知られる彼女は、キーボードやヴァイオリン、パーカッションなど実に多くの面でバンドの音を支えた。また90年代後期は曲の編成に関わる部分に参加したり、よりバンドの中心に近い存在になっていった。
本作はそんな彼女のファーストアルバムであるが、フィッシュマンズのライブで見せるコミカルで情熱的、そしてクールな一面とはまた違い、この作品ではひとりの音楽家としての表情を見せている。
プチンと小さな空気の泡がはじけるような音と何かの信号音のような音のリフレインから始まる「BIRTH」はSF的な原始の風景と郷愁的な風景のどちらをも思わせ、つぶやくように歌うhonziの声とノスタルジックな音色の数々が現実に流れる時間とはまた違った速度で流れる時間や空間の存在を感じさせる。
3曲目の「GATERA-GATA」は鍵盤とギターのフレーズが重厚で、そこに打楽器やHONZIのバイオリンが折り重なっていく。(90年代後期フィッシュマンズの音楽性に通ずるものを感じさせる)
4.蘇州夜曲はHONZIの歌声もさることながら、バンドの演奏がとても良く、ライブで聴いてみたかった。
B面の「TAKE A TRIP」はHIPHOPを思わせるリズムの中に管楽器の情動的なプレイがコラボレーションし、これもまたすごくカッコイイ。
アルバムジャケットや歌詞カードのアートワークはどこかあべこべで、コラージュ的な違和感/面白さを感じさせ、またこれが現実を一つ飛びさせるようなアルバム全体を通しての空気感をよく表している。
また、様々な時空を自由に行き来するようなHONZIの音の世界観、音像を、全体を通してクリアな響きで実現してくれているプロデューサー、ZAK氏のマスタリングがとても素晴らしいと思った。
このような素晴らしい音楽を今の時代にアナログの音で聴くことができるのを幸せに思う。
HONZI氏はもちろん、アナログ化を企画した人、そこに携わった人々に感謝したい。