晩年のArt Pepperの東京での名コンサートが2夜とも聴ける素晴らしい企画です。特にアナログマスターからリマスターされたトラックの音は生々しく素晴らしい。残念なのはLPで発売された以外のトラックが2007年のCD4枚組のデジタルマスターを使用した事。なぜすべてのトラックをアナログマスターから取れなかったのか(ライブ当日の収録はアナログテープのはず)、その経緯やオリジナルマスターの背景についてもっと詳しく解説に入れてほしかった。例えばTrue Bluesを16日のアナログと23日のデジタルマスターで聴き比べると明らかに16日の方が音がつややかに伸び伸びとしており、23日は乾いてゴリゴリと固まった感じで古いデジタルの音の感である。デジタルRemixingを行ったDanny Kopelsonの好みなのかも知れないが。スペクトラムを見るとデジタルは21kHzでフィルタリングされておりK2 20Bitでの44.1kHzサンプリングのファイルと思われる。コンサートの収録が38cm/2Trackへのダイレクトミックスなのか、マルチトラックからのミックスダウンなのか、もしマルチトラックのテープが存在しているのであればそこからのダイレクトミックスでDSDリマスターなら尚更価値の高いSACDになったかも知れない。しかし中古でも入手困難なセットの再発は嬉しい。