ブルックナー: 交響曲第5番

セルジュ・チェリビダッケ、他

あらゆる音が、一つの哲学によって鳴り響く希有の演奏。録音中止の申し出にもかかわらず、故意に密かに録音されていたとは！ＦＭ東京大金星！発売まで、ＥＭＩ盤より速かったと信じていた。「遅い」と感じさせない充実した内容があった。最後尾のプルトまで見事に統一されたボウイングで弾き切る弦、音楽に没入しきり、演奏終了後拍手が起こっても、しばらく我に返らず立ちつくす指揮者。２０年前の客席での感動が甦った。

Bruckner: Symphony No 5

BBC交響楽団、他

ロシア生まれといいながら、ドイツで学びフルトヴェングラーの助手の経験もある彼ゆえ、曲への共感は深い。しかし、フルトヴェングラーの忘我の熱狂はなく、明晰な熱い響き。オケの特性か、金管優位の音づくりだが、結果的に曲とマッチ。非ゲルマン的響きではあるが。

Bruckner: Symphony no 3 / Matacic, Philharmonia Orchestra

フィルハーモニア管弦楽団、他

曲の本質をわしづかみにして、無造作に表現。説得力強し。簡単に見えるが、簡単なことではない。オーケストラはやや練習不足。指揮者の意図を音化しきれていない。エーザー版使用。

Bruckner : Symphony no 9 / Jochum, BPO

オイゲン・ヨッフム

第３楽章の深い祈りなど魅力的な部分はあるが、オーケストラが指揮者の意図を表現し切れていない印象。棒の曖昧さに起因すると思われるアンサンブルの乱れもかなり気になった。ドレスデンなどのもっと聴きあってアンサンブルをするオーケストラだったらよかったのに。