Labcabincalifornia [PA]

The Pharcyde

1st "Bizzare ride "を陽のエネルギーに満ち溢れたデビューアルバムとするなら、このLabcabincaliforniaは、メンバーが白のスーツでキメたジャケットさながらクールでジャジーなヴァイブスを湛えた2ndアルバムと言える。
そう思わせるのはシングルカットされたRunnin'やDropを筆頭に、プロデューサーJay dee(J dijla)の影響が大きい。特にRunnin'はボサノヴァ期のスタン・ゲッツをサンプリングした、サウダージ感漂うあまりにもクールなトラックにverse2=Slimkid Treの滑らかすぎるフロウが完全にハマった永遠のクラシックである。
1stのリリースが92年、そこから3年の歳月をかけて1995年に産み落とされたLabcabincalifornia.
このアルバムの後Fatlipが脱退し、やがてメンバー4人は空中分解するように袂を分かち、徐々にフェードアウトしてしまう。　

90年代のUSヒップホップ。その中でも暴力や拝金主義から遠く離れた地平で、ただ純粋に音楽を愛し、パーティーを楽しむ等身大の若者たちの姿が、ここ日本でもシンパシーを持って受け入れられたのだと思う。
あれから30年が経ち、我々の手元には2枚の奇跡的なアルバムが残されている。
たった2枚だけど、ヒップホップの歴史に大きな足跡を残したこの素晴らしいグループを、その美しく、刹那的で、それでいて底抜けに楽しい音楽を、これからも大切に聴いていきたい