音質、録音に関しての一般的評価が芳しくないBIS盤ですが、確かに様々な類のノイズ(電気的なものなど)が混入してはいるものの、本アナログ盤で聴く限りは、かなりリアルで迫真的な、いかにも本番というような弾きぶりの演奏が聴こえてきます。少なくともモヤがかった音ではありません。EMI HMVのバイロイト盤とは決定的に違うのは、演奏の頂点における迫力で、例えば1楽章展開部のティンパニを伴う盛り上がりを本アナログ盤は如実に伝えてくれます。とにかく思いの外、臨場感のある音です。あえていうなら1942年盤に匹敵する直接的な迫力があります。SACD盤ではどのように聴こえるのか、あるいは協会盤はどうか、比べてみたくなりましたが、本盤は厚みのあるアナログならではの特性が功を奏している気がします。