(全8件)
イン・ザ・シティ
The Jam
当時まだ19歳にも満たないポール・ウェラーが刻んだ疾走する初期衝動と早くも漂う風格。パンクのエネルギーとザ・フー譲りのモッズ精神、モータウン直系の艶やかさとスウィートさを持ったザ・ジャムは、デビュー作の時点で良質なブリティッシュ・ロックの継承者となりえるだけのセンスと実力を兼ね備えていたことがわかる。パンクらしからぬ知性と洗練は後のブラーのルーツのよう。
Beach House
’00年代後半のドリーム・ポップ・ブームの代表格として名声を得たBeach Houseのデビュー作。宅録でのリヴァーブ感は白昼夢的で、その靄の中、親密でノスタルジックなメロディが朧げに流れ、その音楽性はすでに確立されつつある。ヴィクトリア・ルグランの儚げでアンニュイな歌声は、その反面芯の強さも感じさせ、サウンドの靄に埋もれない存在感を発揮している。
ラーズ+8
The La's
今作1枚のみを残して解散した不遇のバンド、The La'sは90年代以降のUKロックにおいて伝説的な存在となった。リヴァプール出身らしくビートルズを彷彿させる瑞々しいポップスに、ストーンズのルードさ、キンクスの叙情も内包した今作は、ちょうど30年が経つ現在でも決して色褪せることなく格別であり続けている。この刹那的で儚いアルバムの持つメロディは普遍的でまさに"Timeless Melody"だ。
ジ・エイジ・オブ・ジ・アンダーステイトメント
The Last Shadow Puppets
アレックス・ターナーがマイルズ・ケインを音楽的な触媒として、その破格の才能の新たな側面を示した傑作。オーウェン・パレットによるストリングスを全面に配置し、60年代ポップス、映画音楽、スコット・ウォーカーを想起させる壮大で流麗な音が広がり、後に顕著になるまろやかで美しいメロディ・ラインにまで手を伸ばし、極上の音楽空間を生み出している。
Acoustic
John Lennon
弾き語り音源をまとめた編集盤。ジョン・レノンのソングライティングの根本と生々しい歌声が、くぐもったデモ音源から浮かび上がる。危うく揺れながら、ジョンの声はロックそのものを体現し続けている。
Song To A Seagull
Joni Mitchell
デヴィッド・クロスビーのプロデュースの下、全編自作曲で占められたファースト・アルバム。「街へやってきた」前半と「街を出て海辺へ帰る」後半から成るコンセプト・アルバム的趣向で、当時24歳の自身の半生が朴訥と美しく綴られている。70年代のシンガーソングライター・ブームに先んじて世に出された、ジョニ・ミッチェルらしい透明感と情念の一片が窺える良質なアコースティック作品。
A.M.
Wilco
後にアメリカを代表する先鋭的なロック・バンドへと成長するウィルコのデビュー作。彼ららしい芸術点の高さこそまだ見られないが、カントリー・タッチの音色と力強いバンド・サウンド、時にディラン風になりながら心地よく掠れるジェフ・トゥイーディのヴォーカルが”快晴”のアメリカン・ロックを体現している。ギターを軸とした音響も緻密で美しい「オルタナ・カントリー」の象徴的な作品。
ザ・スミス
The Smiths
’80年代中盤の英国に美しく咲き、儚くも散っていったザ・スミス。モリッシーの綴る言葉がまだ蒼く直接的で、未完成の魅力が刻まれたデビュー作。ポストパンク的な性急で淡白なリズム・セクションが時代を感じさせ、ひ弱な感があるが、ジョニー・マーのギターが繊細かつ大胆に美しいメロディを紡いでいる。スミスとはモリッシーとマーの出逢いと別れの物語でもあり、この1作目は荒削りながら「始まりの予感」に満ちている。
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