メンバーズレビュー一覧

菖蒲さんが書いたメンバーズレビュー

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名盤のアナログ時代の音を甦らせたことに大いなる意義を感じます.とにかく演奏のバランスが最新リマスター通常版と比べていいのです.リマスター版ではビッチ,デッド・フラワーズなどで左チャンネルから聴こえるキースの調子はずれのギターが気になるのですが,このオリジナル版ではそこのところがうまく処理されています.当時のプロジューサーであるジミー・ミラーの手腕なのでしょうか.

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最新リマスターの通常版と比べると,ドラムの音が70年代後半のややぼやけた広がりのある懐かしい音で蘇っています.このアルバムは意外とチャーリー・ワッツのドラミングが印象的です.

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悪いとは思いませんが,このアルバムがストーンズの最高傑作だとは思いません.オール・ダウン・ザ・ライン以外はギター演奏に力強さがなく,当時のハードロックを意識したミックのボーカルがなければ失敗作になっていたはずです.
ただし,これまでCD化された「メイン・ストリートのならず者」の中ではこのバージョンが最も素晴らしいです.一つ一つの楽器の音がクリアで演奏のバランスも見事です.

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余分な知識を捨てて素直にこのアルバムを聴くと,ストーンズ特有のライブ感のあるポップなサウンドが,サイケデリックの本質に妙に迫っていることが感じ取れます.過小評価されている名盤です.

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ズバリ聴きどころは「フィンガープリント・ファイル」です.曲の速度がスローになっていて,こちらがオリジナルのオリジナルで今回初お目見えです.個人的にはピッチの速い通常ヴァージョンの方が好みですが,これはこれでいいですね.

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英デッカ時代のストーンズのアルバムのSACD化にいかほどの値打ちがあるかは判断に苦しみますが,リマスターであっても限りなくマスター音源に近づきたいとするファンには歓迎されるはずです.もっとも,雑誌などで批評家が強調するほどには通常版との差があるとはとても思えませんが・・・・

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当時のアメリカン・ツアーでは,R・ストーンズとレッド・ツェッペリンとのライブのガチンコ対決があったわけですが,さすがにミック・テイラーのいたストーンズの演奏は凄い.リズム・ギターに専念したキースの演奏も正確で,ミック・ジャガーのハード・ロックしようとするボーカルが痛々しくも美しく,迫力満点です.

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このアルバムの聴き所は,「奴隷」がオリジナルのショート・ヴァージョンになっていることです.ロング・ヴァージョンでは自由奔放なソニー・ロリンズのサックスに対抗してキースの下手クソなギター・ソロが長々と続きますが,このショート・ヴァージョンではサックスの音が抑え目で,キースの長いソロが省略されています.完成度の高い作品に戻って満足しています.

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リマスターされたストーンズのCDを、幾分グレードの高いオーディオ・システムで聴き直すと新たな発見が生まれます。これって、ストーンズを聴く一つの楽しみ方です。

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