純正律は倍音関係に基づく物理学的な音階であり,平均律は周波数の等比関係に基づく数学的な音階です。このため,例えばC,EおよびGの三つの音から成る和音は,純正律では清澄に響きますが,平均律では濁って聞こえます。ちなみに,現代ピアノは平均律で調律されているので,絶対音感は平均律に対応することになります。このアルバムは,純正律と平均律の音階による同一曲の演奏を記録した貴重なものです。純正律の演奏では清澄に響く和音を体験でき,平均律の演奏では耳に馴染んだ和声を確認できます。このことは,現代人の耳が平均律に慣らされていることを物語っています。純正律に興味のある方にお薦めのアルバムです。