ベームのCD発売はグラモフォンやデッカからの人気曲の再発ばかりで面白くなかったが、ベーム没後40年以上経過した今このような新発掘ライブ音源が発売されるのは本当に幸せだ。このBOXの中では、ブルックナー第7番、ベートーヴェン第9番、ドヴォルザーク「新世界」あたりが聴きものだ。特に「新世界」は晩年のウィーンフィルとの録音とは全く違う迫力溢れるライブである。50年代にベームが頻繁にライブで取り上げてたヒンデミットが聴けるのも嬉しい限りだ。このBOXの企画だけで十分満足だが、もっと欲を言えば演奏後の拍手はカットしてほしくなかったし、ベームが「新世界」と同日に演奏した日本ではあまり知られてないリヒャルト・モハウプトの現代音楽も一緒に収録してほしかった。いずれにしてもベームが遺してくれたSWRとの素晴らしいライブ音源の数々を楽しむことができる。音質も当時のライブ録音としては素晴らしい。今後ともこのようなベームの未発表ライブ音源を発掘してどんどん発売してほしい。