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『Smilewound』に至るまでの道のり

連載
360°
公開
2013/09/11   17:59
更新
2013/09/11   17:59
ソース
bounce 358号(2013年8月25日発行)
テキスト
ディスクガイド/佐藤一道


『Early Birds』 Morr

ラフさは否めないが、そのぶん自由な発想に溢れた初期音源集。唐突にギター・ソロが入ってきたり、幼児化したエイフェックス・ツインみたいな曲もあったりして、遊び心の塊といった電子音楽が展開されている。彼らの原点を知るうえで重要な一枚だ。

 

『Yesterday Was Dramatic: Today Is OK』 Morr(2000)

記念すべき初のフル・アルバム。電子音とオーガニックな生楽器の音を融合させた独自のエレクトロニカは、本作ですでに確立されている。この時期ならではの緻密なグリッチ・ビートや変調の繰り返しなど、手の込んだ細工が気持ち良い。

 

『Finally We Are No One』 Fat Cat(2002)

ビョーク仕事で知られるヴァルゲイル・シグルズソンが参加した2作目。双子の舌足らずなヴォーカルによって、夢想的でノスタルジックな音風景が綴られていく。バンドの代表作であり、2000年代における〈○○トロニカ〉の金字塔。

 

『Summer Make Good』 Fat Cat(2005)

ギーザが脱退して発表された3作目。地元の灯台でレコーディングしたという特殊な制作環境も影響してか、全編ダークな空気に包まれている。哀感漂うメロディーが印象的な楽曲群は、アイスランドの荒涼とした海景色を眺めているかのよう。

 

『Go Go Smear The Poison Ivy』 Fat Cat(2007)

双子の片割れ、クリスティン脱退後初となる本作は、新加入のシラを含む7人編成で制作。男女ヴォーカルをフィーチャーし、生音の比重を増やすことで、前作とは対照的に軽快な仕上がりとなっている。初期の遊び心も復活したカラフル盤。

 

『Sing Along To Songs You Don't Know』 Morr(2009)

アイスランド以外にエストニアやフィンランドでも録音が行われた5作目。前作の生音路線をさらに押し進め、タイトル通りグッと歌にフォーカスしている。キャッチーな聴き心地と緻密なアレンジを追求した意欲作と言えよう。

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