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NEW OPUSコラム
公開
2102/07/04   00:00
ソース
bounce 345号(2012年6月25日発行号)
テキスト
文/黒犬


NYアンダーグラウンドの誇る真のカリスマ、エル・Pがファット・カムバック!!



El-P_A



エル・Pといえば、カンパニー・フロウの中心人物として90年代から熱狂的な支持を得てきたNY出身のMC/プロデューサーだ。いやむしろ、カンパニー解体後に本腰を入れはじめたデフ(ィニティヴ)・ジャックスでの目覚ましい動きが、熱心なファンを増殖させてきたという流れも大きいのかもしれない。そんなアンダーグラウンド・ヒーローの彼はこれまでにソロで4作品(ラップ・アルバムは2枚)をリリースしてきたが、近年はダス・レイシストやMrマザーファッキン・エクスクワイアのような後進と組むことも多く、新たなリスナーを獲得してきた。そんな好機に、レーベル活動休止後では初めてのアルバムがファット・ポッサムからリリースされた。

先述の背景もあって、その『Cancer For Cure』はこれまでのエル・P関連作のなかでも非常に取っ付きやすい部類に入るだろう。先述のエクスクワイアが客演した“Oh Hail No”にはデトロイトのダニー・ブラウンも登場。そしてデフ・ジャックス所属のデスポットがマイクを握る“Tougher Colder Killer”にはキラー・マイクも参加している。もちろんそうしたAリストとのコラボではなく、エル・Pならではの抽象的な作風が肝であるのは言うまでもない。

さらにエル・Pはそのキラー・マイクの新作『R.A.P. Music』をトータル・プロデュース。これが『Cancer For Cure』を凌ぐ傑作に仕上がっているのだ。マイクは独立独歩の活動を続けながらT.I.率いるグランド・ハッスルに属してもいるわけで、ここではT.I.とバン・Bがいきなりエル・Pのビートと邂逅するという刺激的な展開に出くわす。エグ味のあるマイクの語り口とユニークなエル・Pビーツで紡がれたこちらもまた必聴であろう。



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