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RAM RIDER 『AUDIO GALAXY – RAM RIDER vs STARS!!! -』

連載
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公開
2012/04/11   18:00
更新
2012/04/11   18:00
テキスト
文/澤田大輔


ゲストのキャラを的確にキャッチしたポップス作品



RAM_RIDER_A



初作『PORTABLE DISCO』から実に6年半。長いインターヴァルを経て届けられたフル・アルバム『AUDIO GALAXY-RAM RIDER vs STARS!!!-』は、楽曲ごとにシンガーを迎え、代表曲のセルフ・カヴァーも交えた作品となった。

ORANGE RANGEを迎えた冒頭曲“HELLO”のトランシーでどアッパーなサウンドにのっけから圧倒されるが、全体的にはフラットなテンションで向き合える、歌をメインとしたポップスの表情を湛えた楽曲が多い。チャイムやストリングスが切なくも美しい風景を描いていく南波志帆との“VOICE -とおくのきみへ-”、MEGとのキュートなエレクトロニック・ファンク“非実在ボーイ”、中川翔子の歌声が叙情的なメロディーとドラマティックに踊る“RAINBOW -なみだのあとで-”。

さらにはバカリズム&藤岡みなみ(PANDA 1/2)をフィーチャーした、初期のカイリー・ミノーグを彷彿とさせるファニーで甘酸っぱいエレクトロ・ポップ“放課後★サスペンス”や、ビートを抑え、メロディーの昂揚感を際立たせた野宮真貴との“ユメデアエルヨ”など……歌い手たちのキャラを的確に掬い上げ、各人にバシッとフィットした楽曲に仕立てているあたりは、実にお見事。この6年半の間に手掛けてきた、さまざまな外仕事のノウハウが注ぎ込まれているのだろうし、そんなRAM RIDERのプロデューサーとしての側面をパッケージングしたアルバムとも言えるだろう。

前作『PORTABLE DISCO』が発表されたのは2005年のことだったが、その後、Perfumeの本格的なブレイクが呼び水となり、オートチューンを用いたダンサブルなポップス――RAM RIDERが当初から一貫して打ち出していたスタイルがJ-Popの分野において、ごくごく普通に受け入れられるようになった。要するに、RAM RIDERは半歩ばかり早かった。セルフ・カヴァーを交えた本作は再スタートのような意味合いもあるのだろうし、今度はジャストなタイミングで、RAM RIDERのポップネスをより多くの人々に知らしめるはずだ。