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BO NINGENのサイケデリック見世物小屋(第3回)

連載
皿えもん
公開
2011/09/20   16:00
更新
2011/09/20   16:00
テキスト
文/Mon-chan(BO NINGEN)

アーティストが各テーマに沿ったお皿(CD)を紹介する連載! 海外では日本の音楽がどう捉えられているのかを、イギリス在住のBO NINGENの視点でお届けします。今月の担当は、ドラムスのMon-chan!!

 

皿えもん_BO NINGEN_3

 

[ 今月の一枚 ] ゑでぃまぁこん 『あおいあしおと』 GYUUNE CASSETTE

 

BO NINGENのMon-chan、ドラムスです。

コンピ盤『Night Gallery 2』の“イクヨノシタク”で
初めてゑでぃまぁこんを知ったのですが、
冥界への誘いというか、情念が意志を持って演奏しはじめたような感じに
恐怖すら感じてすごく気になりました。
それからは彼らに心酔しているわけですが、
今作はそのファースト・アルバムになります。

怖(COA)、LSD MARCHでそれぞれ活動していた
ゑでぃとまぁこんを中心としたメンバーですが、
その音は意外にもアシッド・フォーク。
デス声ではないですし、むしろとても奇麗な歌声なので驚くかもしれません。
そして、山崎マゾさんもライナーノーツに書かれていた歌詞が、素敵すぎます。

――花を買って帰ろう。眠るとき、そっと香るように。

日本語の素晴らしさに気付かされる作品であり、
音の世界観、メロディーは昔話や古い童謡を連想させます。

日本のこういった音楽は、もともと土着的に持っている自然観、死生観、
内観によるより自然な自我拡張、
闇のなかに無数の魑魅魍魎を創造するその感性が、
形而下では表現しきれない〈何か〉を匂わせるのかなと。
それは日本の魅力として充分すぎるのではないでしょうか。

これは日本だからこそ起こったことなのだと思っているのですが、
幼い頃、おばあちゃんの部屋で眠る時に何回かこんな体験をしました。

状況から説明すると、田舎の押し殺したような静けさに柱時計の音、
暗闇、そこに浮かぶ囁かなオレンジ色の灯、畳の匂い、線香の煙、滑る風。

そんななかで自分の意識はどんどん覚醒していき、
体中が温かくなって風船を膨らませた様にぷくっと膨れていきます。

そしてその後、きまって舌が異常に膨らむんです。

長さにして3メートル。
まるで巨大なヒルのようになったその舌で横たわりながら
飽きるまで天井を舐め続ける。
でもすごく気持ち良かったことを記憶しています。

彼らの曲はその時の空気感に似ています。
素晴らしい作品ですのでぜひ聴いてみてください。


 

▼文中に登場した作品

PROFILE/BO NINGEN

Taigen(ヴォーカル/ベース)、Kohhei(ギター/エコー/ファズ)、Yuki(ギター/エコー/ファズ)、Mon-chan(ドラムス/ポールダンス)から成る、ロンドン在住の日本人男性4人組バンド。2009年、UKのストールンから限定EP『Koroshitai Kimochi』でデビューし、2010年11月にはファースト・アルバム『Bo Ningen』(Stolen/Knew Noise)を発表。現在は欧州を中心にライヴ活動中で、10月15日にはホラーズ&キルズとの対バンも! そんな彼らのスケジュールについては、こちらのサイトをご覧ください。

 

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