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グリーンスリーヴス

DIPLO

連載
Discographic
公開
2011/04/04   14:46
更新
2011/04/04   14:47
ソース
bounce 329号 (2011年2月25日発行)
テキスト
インタヴュー・文/田中直樹

 

たくさんの人に〈リディムの精神〉を伝授するため、この男が立ち上がった!

 

現在のクラブ・シーンにおいて、ディプロほどその一挙手一投足が注目されているアーティストも他にいないだろう。バイリ・ファンキやデジタル・クンビア、Bモアにクドゥルなど世界中のビートを発掘・紹介してみずからの作品にも取り込む貪欲さと、そして何よりそれらを優れたポップ・ミュージックとして成立させてしまうセンスには毎回脱帽させられる。直近ではデス・セットのニュー・アルバム『Michel Poiccard』への参加に加え、GD & TOP(from BIGBANG)への楽曲提供でK-Pop方面にも進出し、新しいファンを獲得。その創作意欲は留まることを知らない。それらディプロ関連の諸作品やメジャー・レイザーとしての活動でも窺える通り、彼がレゲエから多大な影響を受けていることについては、いまさら強調するまでもないはずだ。

「レゲエは人生、そしてレゲエは自由。レゲエはもっとも純粋で生々しく、もっともインスパイアを受けるジャンルだ。これからも偉大なレゲエ・アーティストたちといっしょに自分のプロジェクトを作れることを希望している」。

ちなみに、彼にとってレゲエにおける最初のビッグ・チューンはビーニ・マンの“Memories”らしく、「それをきっかけにいろいろと聴くようになり、また遡ってクラシック・チューンも聴きはじめるようになったんだよ」とのこと。そんなディプロが、今回グリーンスリーヴス音源のミックスCD『Riddimentary』を手掛けることとなった。

「グリーンスリーヴスは偉大なる存在、ジャイアントだ。この世界的な音楽ビジネスのゲームのなかで、過去から今日までずっとレゲエ、ダブ、ダンスホールを届け続けていて、常にレゲエ・カルチャーの発展をサポートし、レゲエの伝統を守り作り続けているからね」と賛辞を贈っているが、そもそもこの企画、メジャー・レイザーの2009年作『Guns Don't Kill The People...Lazers Do』の制作時にジャマイカ人アーティストとの客演交渉や契約の部分でグリーンスリーヴスから大きなサポートを受け、それ以来、密に関わるようになっていた両者の間で念願叶って実現したものらしい。

「この『Riddimentary』はクラシックだ! ここに収録されている楽曲が今日のレゲエのファウンデーションだ。注意深く聴いてくれ!」。

その内容は「自分が気に入っている曲をまとめた」そうで、ヒュー・マンデルらルーツ系と、ローン・レンジャーやクリント・イーストウッドなどのアーリー・ダンスホール系が多め。レゲエ好きの彼が膨大なカタログから愛情を込めて厳選した楽曲を聴けば、ディプロの原点を知ることができるだろうし、レゲエの持つ極上の粘りや旨みも再確認できるはずだ。

なお、メジャー・レイザーの新作も現在制作中で、6月に発表を予定しているとのこと。どうやら日本人アーティストの参加もあるようで、他にも新しい試みを実験中なのだとか。まあ、あくまで予定は予定。新作を楽しみに待ちつつ、いまはこの『Riddimentary』を心ゆくまで味わおう!

 

▼関連盤を紹介。

左から、メジャー・レイザーの2009年作『Guns Don't Kill The People...Lazers Do』(Downtown)、2010年のコンピ『Blow Your Head Vol 1: Diplo Presents Dubstep』(Mad Decent/Downtown)、デス・セットのニュー・アルバム『Michel Poiccard』(Counter/BEAT)、GD & TOPのニュー・アルバム『The First Album』(YG/ユニバーサル)