ブルックリンの老舗、ダック・ダウンが15周年!!
ひとつのレコード・レーベルがある一定の信念を貫きながら、形を変えずに活動を継続していくことは容易ではないだろう。シーンのサイクルが早く栄枯盛衰の激しいヒップホップのレーベルなら尚更そうだ。そんななか、行き届いたクォリティー・コントロールでファンの望むカラーをキープしながら、常にマイペースな更新を繰り返して15周年を迎えたNYのレーベルがある。それがここで紹介するダック・ダウン(以下DD)だ。
発端は92年。NYの老舗ハウス・レーベル、ナーヴァスでインターンを務めていたドゥルー・ハと、ナーヴァス傘下のレックからデビューしたブラック・ムーンのバックショットが意気投合したことだったという。ブラック・ムーンがアルバムを出した後の94年、2人は共同でマネージメント会社としてのDDを設立。翌95年にはレーベル機能も立ち上げて、バックショットが率いるブルックリンのクルー、ブート・キャンプ・クリック(以下BCC)に属するスミフン・ウェッスンやO.G.C.といった面々を束ねていた。プライオリティ配給を得たDDのレーベル第1弾作品は、ヘルター・スケルターの『Nocturnal』(96年)。無名時代のエミネムを獲得しようとした逸話などもありつつ、最初の7~8年においてはDD≒BCCだったのだ。
状況が一変したのは、完全にインディーに転じた2003年からだろう。意欲に個人差の出てきたBCCにこだわらず、キッズ・イン・ザ・ホールやブルー・スカラーズ、マルコ・ポーロをロウカスから迎え、トレイらイキのいい連中に機会を与え、KRS・ワンやB・リアルのようなレジェンドとも契約。この後はファロア・モンチの移籍作(!)やスミフンとピート・ロックの合体作(!)、ブラック・ミルクの新プロジェクト(!!)なども控えている……って、うっかり早漏気味に15周年を祝ってしまったが、DDが次のステップへ進んだ姿を見せてくれるのはまだまだこれからなのだ。また黄金時代が来たね!
▼関連盤を紹介。
左から、ブラック・ムーンの93年作『Enta Da Stage』、スミフン・ウェッスンの95年作『Dah Shinin』(共にWreck/Nervous)、O.G.C.の96年作『Da Storm』、ブート・キャンプ・クリックの97年作『For The People』、ブラック・ムーンの99年作『War Zone』(すべてDuck Down/Priority)