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スタジオジブリの音楽

ジブリ作品とケルト音楽、その〈共通する思考〉

連載
360°
公開
2010/08/05   13:53
更新
2010/08/05   13:54
ソース
bounce 323号 (2010年7月25日発行)
テキスト
文/小泉 凡

 

音楽と映像の見事な響き合いに魅了された。音楽を担当したセシル・コルベルはフランス・ブルターニュの出身。〈ブルターニュ〉とは〈小さなブリテン〉という意味で、ブリテン島(イギリス)・コンウォール地方から海を渡ったケルト人の文化が息づく土地だ。ケルト民族はキリスト教を受け入れつつも、自然を畏怖し異界の伝承を大切にし、ドルイドと呼ばれる精霊信仰を守ってきた。その思考の特色は人間世界だけで物事が完結すると考えないこと。だからセシルの楽曲にも自然や異界からのメッセージが織り込まれたケルト音楽の伝統を感じる。人間の世界ともうひとつの世界を登場させて相対的に描くのはジブリ作品の特色でもあり、この映像と音楽があまりにも美しく符合するのは、そんな〈共通の思考〉が両者に流れているからだと感じた。原作の舞台であるイギリスの旧家を武蔵野のそれに移し換えたことにも違和感はない。人間と床下の小人たちとの共生関係の微妙さは、人間と野生動物や人間と異界との関係にも置き換えることができる、今日的で深く普遍的なテーマだ。

 

PROFILE/小泉 凡島根県立大学短期大学部教授。「骨董」「怪談」などの文学作品で知られ、日本文化にも造詣の深かった小説/随筆家、ラフカディオ・ハーン(小泉八雲)の曾孫。専門は民俗学、ケルト口承文化研究など。主著「民俗学者・小泉八雲」他。山陰日本アイルランド協会事務局長、小泉八雲記念館顧問でもある。

 

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