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第46回――煙のなかのグレッグ・ペリー

ESSENTIALS 時代を彩った名盤たち

連載
IN THE SHADOW OF SOUL
公開
2010/06/21   19:54
更新
2010/06/21   19:58
ソース
bounce 321号 (2010年5月25日発行)
テキスト
ディスクガイド/林 剛

 

GREG PERRY 『Smokin'』 RCA/Reel Music(1977)

このたびリイシューされた、RCA発の2作目。〈西海岸に舞台を移したデトロイト・ソウル〉といった趣は前作と同じながら、ニュー・ソウル的な内省感があるのは、エドナとの結婚が影響しているのだろうか。エディ・ケンドリックスやジャッキー・ムーアも取り上げたコシのあるミディアム“How's Your Love Life, Baby?”、ラトーヤ・ジャクソンも歌った“Taste Of You(Is A Taste Of Love)”などの好曲が揃っている。

HONEY CONE 『Soulful Tapestry』 Hot Wax(1971)

後にグレッグの妻となるエドナ・ライトが在籍していた女性トリオの3作目(現在は4in2の編集盤で入手可)。“Want Ads”“Stick-Up”“One Monkey Don't Stop No Show”といった快活なデトロイト・ビートのヒット・ナンバーが揃った傑作で、それらの作者であるグレッグやジェネラル・ジョンソンらにとっても〈出世作〉となった一枚と言っていいだろう。ジャクソン5とシュープリームスのいいトコ取り?

FREDA PAYNE 『Contact』 Invictus(1971)

ホランド=ドジャー=ホランドのもとで〈インヴィクタス版ダイアナ・ロス〉的な役割をあてがわれていたフリーダ・ペイン。そんな彼女のインヴィクタスでの2枚目となる本作でもグレッグは手腕を発揮していた。とりわけ、ヴェトナム戦争に徴兵された男たちの帰還を訴えた反戦歌“Bring The Boys Home”はグレッグ(ら)が書いた楽曲のなかでも屈指の出来。重いテーマの曲を親しみやすく聴かせるセンスが素晴らしい。

CHAIRMEN OF THE BOARD 『Bittersweet』 Invictus(1972)

骨太にしてポップなインヴィクタス・サウンドの体現者となったヴォーカル・グループ。リーダーのジェネラル・ジョンソンはグレッグとソングライター・チームを組んでいたが、この3枚目では大半の曲をその両名で共作している。ライアン・ショウのカヴァーでも知られる目玉曲“Working On A Building Of Love”は彼らの作ではないものの、グレッグの尽力なくしてこの傑作は生まれなかったはずだ。

EDNA WRIGHT 『Oops! Here I Go Again』 RCA/Reel Music(1977)

 デ・ラ・ソウル“Pass The Plugs”でネタ使いされた表題曲がメロウ・グルーヴの傑作と評され、90年代に再評価されたエドナ・ライトのソロ作。夫となったグレッグが全面援護したこれは『Smokin'』と似た環境で制作され、曲によってはホット・ワックス的なノーザン感覚も薫る。とはいえ、エドナの歌はハニー・コーン時代よりも大人っぽく上品に。ソウルフルにして淑やかな70sレディー・ソウル名盤だ。

MARY WELLS 『In And Out Of Love』 Epic/Reel Music(1981)

かつてモータウンで“My Guy”のヒットを飛ばした歌姫が、遅れてやってきたデトロイト・ソウルの才人=グレッグと組んで仕上げたLA録音のアルバム。ディスコの影響も感じられるが、デトロイト流の骨太なグルーヴを核にしてアーバンにまとめ上げた力量とセンスはグレッグならではだろう。とりわけ、冒頭の“These Arms”は主役のメアリーがモータウン出身者であることを再認識させる好曲。