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第30回 ─ Los Angeles

連載
グディングス・リナ の Delicious Dishes
公開
2009/11/18   18:00
ソース
『bounce』 315号(2009/10/25)
テキスト
文/グディングス・リナ

グディングス・リナが世界の〈音楽〉と〈料理〉のお皿2枚使いで贈る、〈音食同源〉コラム!!


  昨今のファッションや音楽における80'sブームは、思ったより飽きられることなく長く続いている印象があります。クラブ・ミュージック・シーンをはじめ、一部でそろそろ90'sテイストの気配も散見されますが(大歓迎)、なかなか大きな火が点かないような感じも。さて、その80'sもファッションにおいて実は元を辿れば40'sのリヴァイヴァルだったり、つまり現在の状況はリヴァイヴァルのリヴァイヴァルともいえるわけです。

 なにが言いたいかって? 本当に人って過ぎ去った〈なにか〉を惜しんだり、懐かしまずにはいられない性向なんだってこと。そして現在を憂う人も、未来を不安に思う人も、過去に起こったことについてはなぜだか寛大になれるところがあるものなのです。現在も未来もいつかは許容されていくはずなのに、懐古趣味に固まっているのはもったいない気がする……一方で、過去を愛おしむのは人に許された素敵な才能だ!と、わたしは感じていたりもします。

 それを踏まえてみると、なにか作品を作ろうという時に見たことも聴いたこともないような新しいものを作るよりも(それがたいそう難しいから、という消去法もあるにせよ)、少し古いものに手を加えてみる、懐かしいと感じるものをいまのやり方で再現してみるというのは、ある意味とても理にかなった、受け手に対してフレンドリーなやり方でもあるわけです。

 今回LAを取り上げるにあたって、ディスクガイドで紹介したいと思ったアルバムに共通していたのはまさにそうした点。古いものを思い出させながら、新しいことを試みている音楽――どうしてそれがLAのアーティストに多かったのか、それがただの偶然にしても興味深かったり……。〈古き良き〉と〈最先端〉のふたつの形容詞を両肩に背負ったハリウッドがあるからなのかどうか、もちろんもっと別の秘密があると思うんですけどね。ちなみに、そんな煌びやかイメージを抱かせてくれるLAですが、いざ訪れてみるといちばんポピュラーな食べ物はタコス。人口のほとんどはメキシコ系じゃないか?という印象があることも付け加えておきます。なんだか神秘的に思えるのは、私だけでしょうか。

How To Roll タコスはいつものブログで!
http://hyoryudofu.blog66.fc2.com/

RECIPE タコスといっしょに堪能したい、今月のDelicious Dishes!!!

DAM-FUNK
『Toeachizown』
 Stones Throw(2009)
安定感さえ漂いはじめた、良質で変態チックな盤をコンスタントに届けてくれるレーベルから、この秋投下された甘トロ爆弾、デイム・ファンクの新作です。ザップ好きの間だけに留めておくには惜しい!

DAEDELUS
『Exquisite Corpse』
 Ninja Tune(2005)
作品ごとに印象を変える手品師の如きデイデラス。ブラジリアン・ミュージック、映画のスコア、ブレイクビーツ、エレクトロニカが摩訶不思議に混じり合ったような夢サウンドは望郷感アリ。

THE BIRD AND THE BEE
『The Bird And The Bee』
 Metro Blue(2007)
イメージ面でのコテコテさにはそんなに反応できないところがありますが、曲はとにかく素敵なのです。メロディーや音質の懐古感はとても良く計算されたもの。見事!

PROFILE

グディングス・リナ
ゴッタ煮ビート音楽を作り出すシンガー・ソングライター/トラックメイカー。カヴァー集『The Nightbird』(ビクター)も大好評! 新たに未来派ファンク・バンド、MIDNIGHT SUNを結成したばかり。「上で紹介したアーティストと対バンする日を目標に精進します」とのこと!