新しいビート世界を一望できる名コンピの第2弾
ポストJ・ディラ的な評価軸を超えて、世界各地で共振するビートメイカーたちの活躍ぶりが表に出てくるようになってきた。その流れを決定付けたのは、もちろんフライング・ロータスやハドソン・モホークの台頭だろう。が、その前に思い出すべきはオランダのラッシュ・アワーによるコンピ『Beat Dimensions Vol.1』(2007年)だろう。シナマンとジェイ・スカーレットがコンパイルしたその作品には、インスト・ヒップホップとダブ、エレクトロニカの臨界点にあるドープなブレイクビーツがひしめき、フライング・ロータスとハドソン・モホーク、さらには日本のSUPER SMOKY SOULらも名を連ねていたのだ。で、そんな耳の良い選者によるシリーズ第2弾『Beat Dimensions Vol.2』がこのたびようやく登場した。
同じラッシュ・アワー系のドリアン・コンセプトや、ソナー・コレクティヴにいたディムライト、LAアングラ文脈で人気のノサッジ・シング、さらにはプロデューサーとして人気のイグザイル、ラスGなど、第1弾に比べればすでに名のある人も増えているが、それは有名無名を問わずある種のクリエイターたちの共振ぶりが多方面に拡大している証拠だろう。実際、サミヤムとディムライト、マイク・スロット、ラスGはロータスの『LA CD』でもリミキサーとして抜擢されていて、そのスジではすでに重要な存在である。もちろん、ティアゴやドルト・ウィズニー(ふざけた名前!)などまだ実体が見えない面々の刺激的なビートも盛りだくさん。未知の才能や次の主役を発見する意味でも、これはスルー厳禁ですよ。