グディングス・リナが世界の〈音楽〉と〈料理〉のお皿2枚使いで贈る、〈音食同源〉コラム!!

この連載も思いの外続き、当初の〈自分の興味〉や〈知識の範囲〉を超えた場所を取り上げることも増えました。場所によってドップリお気に入りの時もあれば、新しく勉強する場合もあるし、表面的に求めていたエキゾ感が満たされればお腹いっぱい!って時もあったりします。後者の時なんかは、〈どれどれ……〉と読んでくれている皆さんと大きな差はないんじゃないかな。そう、わたしにとっても元を正せばつまみ喰いから始まる/始まった旅なのです。まあ、人よりちょっとだけ食い意地が張っているかもしれないけど。
さて、今回の旅先は胃袋も喜ぶ北海道。月並みかもしれないけれど、パッと連想したイメージは雄大な自然とアイヌ文化の神秘的なイメージ。それはもう神さまが現役で棲んでる感バリバリなわけです。これは小学生の頃に夏休みを丸ごと費やした旅行ですっかり刷り込まれた実感だけど、下のディスクガイドで取り上げた音楽を聴くにつけても、その印象はますます強まるばかり。紹介盤のなんとシャーマン的なこと!
と・こ・ろ・で、そんなシャーマン的唄い手もコロポックルもクッシーもさることながら、北海道にはまだまだ興味深い存在が……。〈白鳥由栄〉って知ってます? 網走を含む4つもの監獄を超人的な方法で脱出した脱獄王。脱獄の理由は、罰を逃れるためではなく、〈苛酷な獄中生活、囚人の人権を訴えるため〉とのこと。その証に、脱獄後にその旨を伝えたらあっさりまた捕まるという奇特ぶり。実のところ彼は青森出身なのですが、〈鉄枠に毎日お味噌汁をかけて腐食させた〉〈関節を外して小窓から脱走した〉などの強烈なエピソードを持ち、現在は網走監獄博物館で展示を見ることができます。寒々しい牢獄の天井の梁を裸同然のフンドシ姿で登る白鳥由栄の人形は、ニポポ人形と同じくらい瞼に焼き付いてしまったわけで……。おかげで神秘的な北海道イメージになんとなく人間臭~い、おどろ怖い感じも加味されたのでした。それはまったくもって余計に刷り込まれたイメージかもしれないんだけど、なんだか大自然への畏怖感やアイヌの複雑な歴史などともつれ合い、わたしのなかでは奇妙な説得力を持っていたりするのです。
北海道名物・イカ飯のイカがわしいレシピはこちら
http://hyoryudofu.blog66.fc2.com/
RECIPE イカ飯といっしょに堪能したい、今月のDelicious Dishes!!!
安東ウメ子
『ウポポ サンケ』 チカルスタジオ(2003)
アイヌの言葉は北海道の地名として多く残っているけれど、聞き慣れない音の配列がまるで呪文みたいで、なんとも好きです。ちなみに歌のことを〈ウポポ〉と呼ぶのです。言葉の響きを楽しんで。
OKI DUB AINU BAND
『OKI DUB AINU BAND』 チカルスタジオ(2006)
民族的な意匠を纏いながらこんなにもカッコ良いバランスのバンドって、他になかなか知らないのです。ため息が出ちゃう。もっと世界中で掻き鳴らしてほしいトンコリの音色!
中島みゆき
『愛していると云ってくれ』 ポニーキャニオン/ヤマハ(1978)
ああ、またため息が出ちゃう。こちらはわれわれに馴染み深い俗っぽい言葉を使って歌ってくれる、お茶目なシャーマンです。佇まいも歌い方も巫女的だけど、ユーモアこそが魅力(魔力)。
PROFILE
グディングス・リナ
格好良いゴッタ煮ビート音楽を作り出すシンガー・ソングライター/トラックメイカー。カヴァー・アルバム『The Nightbird』(ビクター)も大好評! 9月26日に恵比寿unicoで、10月10日に高崎FLEEZでDJを行う予定。最新情報は〈http://www.goodingsrina.com/〉で随時更新中!