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第543回 ─ HAVANA CULTURA

連載
NEW OPUSコラム
公開
2009/10/21   18:00
ソース
『bounce』 315号(2009/10/25)
テキスト
文/ダイサク・ジョビン

革命から50年! 進化し続けるキューバ音楽のイマをジャイルズ・ピーターソンがご案内!!

 ジャイルズ・ピーターソン流〈ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ〉かと思いきや、今回彼が制作した2枚組コンピ〈Havana Cultura〉は古き良き……ではなく現在進行形のキューバ音楽を捉えた〈耳で聴くドキュメンタリー〉といった内容。Disc-1は、現在のキューバ音楽シーンの新たなドンといえるピアニスト、ロベルト・フォンセカとタッグを組んで、チューチョ・バルデスの妹であるシンガーのマイラや若手ヒップホップ・アクトなど活きの良い現地ミュージシャンを結集し、ハヴァナにて録音されたもの。キューバン・クラシックからケニー・ドーハム“Afrodisia”、J・ディラ“Think Twice”、フェラ・クティ“Roforofo Fight”のカヴァーなどを、ヒップホップ、R&B、ジャズのエッセンスを柔軟に取り込んだクールな最新キューバン・サウンドとして聴かせてくれる。

 また、Disc-2はハヴァナの街でジャイルズが耳を奪われた〈キューバのイマ〉を感じさせるアーティストたちの曲をコンパイルしたもの。ノスタルジックで優雅なルンバや定型化されたサルサではなく、キューバ音楽のエッセンスをそれぞれのスタイルで取り込んだユニークでオリジナルなレゲトンやヒップホップ、R&Bなど、いかに魅力的で多種多様な新しいサウンドがこの街で誕生しているかが伝わってくる刺激的な一枚となっている。ジャイルズのセンスがしっかりと反映された価値ある作品と言えるでしょう。

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