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第536回 ─ MADONNA

連載
NEW OPUSコラム
公開
2009/09/30   18:00
ソース
『bounce』 314号(2009/9/25)
テキスト
文/村上 ひさし

四半世紀に渡り、マジカルな変身術で世間を驚かせてきた女帝の軌跡(奇跡)をPV集で確認せよ!

  〈デビューしたての頃って色っぽかったよな~〉〈アタシは女性解放時代の男勝りな姿に惚れちゃったのよ〉〈いまでも“Vogue”なら踊れるわ〉〈オレだって“Hung Up”の糸巻きダンスならできちゃうぜ〉――きっとこういう会話があちこちで交わされるであろう、ポップ界の魔女によるPV集「Celebration」。いや、なぜ魔女かというと、よくもまあ、これだけアレコレ変身を繰り返しておきながら、25年間もマンネリやネタ切れしないものだなあ、と。だから、きっとマドンナは魔女に違いない(失礼!)。でも真面目な話、御年51歳の半生をメイクとファッション、最先端の映像処理に執心しながら、必ず争議を喚起するテーマを挿し込みつつ、ストリートのポップ・カルチャーを引き寄せて、ダンスや歌を通して自身を思い通りに見せるPV作りに勤しんできた彼女は、やはりただ者ではないわ、と感心させられるわけですよ。しかも本人が飽きていないだけに、観ているほうだって飽きないし。自分だけを見せているふうでありながら、さりげにジャスティン・ティンバーレイクから坂本教授、サーシャ・コーエンにナオミ・キャンベル、ポルノスターまで、絶妙なタイミングで起用する人材登用術は、彼女の楽曲作りでの共犯者選びにも通じる鮮やかさ。その音源のほうは、同名のベスト・アルバムでたっぷりご堪能あれ。新曲“Revolver”もゴキゲンっす。

▼マドンナの作品を紹介。