憧れのアーティストたちといつもの酒場で出くわして――武藤昭平、勝手に深夜がれの妄想話はまだまだ続く……
28時を回った頃。怒髪天の増子直純、エルヴィス・コステロ、そして俺、武藤昭平が飲んでいるところにミック・ジャガーが現れ、4人でテーブルを囲んでいる。ミック以外の3人はビールや焼酎で、〈酒は止めた〉と言うミックは紅茶で乾杯。増子が呼び出したドアーズのジム・モリソンは、すでにカウンターで潰れていた。俺が切り出す。「じゃあ、いまからクラブとかに繰り出しますか?」「いやいや、この店でいいだろう。移動するのも面倒臭えしさ。なあ、ミックさん、ガハハハ!」。そう返してきた増子を見ると、すでに顔は真っ赤でゴキゲンだった。「そやな~。チキンラーメンの早食い競争とかしますか? 負けたら何か飲みモン一気とかで!」。そのコステロの意見に増子が乗る。「いいね~、コステロ。チキンラーメンの一気食い。ちょうど俺も腹減ってきたんだよ。ミックさんはインスタント・ラーメンとか食ったことあんの?」「はっきり言って食べたことはないな~。存在は知ってるが……」。そしてコステロ「ほなミックはん、食うてみい。絶対にオススメやで。わてはインスタント・ラーメンの創始者、安藤百福はんを尊敬してますしな。世界の食文化を変えたインスタント・ラーメンは食わんとアカン。よっしゃ、いくで~。あ、すんません、店員さ~ん」。早速コステロはチキンラーメンを4人分注文した。「たまご、ちゃんと落としてや」。
3分後、たまご入りチキンラーメンが目の前に現れた。コステロが仕切る。「ほな一気食いな。負けたらホッピーを一気飲みやで。ほないくで。せ~の、ドン!」。ズズズズ~ッ! ズズ~ッ!――凄い勢いで麺をすする増子、コステロ、俺。だが、ミックだけは味を確かめるようにゆっくりと食べながらみんなに言った。「こんな熱いもの、よくそんなに勢いつけて食べられるな」。そんなミックに増子が返す。「ミックさん、早く食わねえと冷めちゃうよ」。
しばらく経って結果が出た。一目瞭然でミックの負けだ。「ミックはん、遅いな~。麺が伸びてまうでえ。でも美味いでしょ?」。コステロの問いにミック「ああ、確かに美味いよ。今度ツアーに持って行くかな」「まあ、勝負は勝負。ミックはん。ホッピーの一気飲みやで!」。
……武藤昭平、あくまでも妄想の話。
深夜の妄想盤
ELVIS COSTELLO & THE IMPOSTERS 『Momofuku』 Lost Highway(2008)
日清食品の創業者・安藤百福さんを尊敬するあまり、タイトルにその名前を掲げてしまった一枚。即席麺よろしく、瞬発力抜群の速くて美味いストレートなロックンロールを搭載していて、あなたのお腹をたっぷりと満たしてくれますよ!
MICK JAGGER 『Wandering Spirit』 Atlantic(1993)
どうです、この鍛え抜かれた身体! 当時49歳のミックさんが放ったソロ3作目であります。レニー・クラヴィッツさんとのデュエットなど、ここに収録されているハードでザラついた若々しいナンバーを聴くたびに、酒なんて飲んでいる場合じゃないなと反省するばかり。
PROFILE
武藤昭平
ジャズとパンクを融合させたオリジナルなサウンドで人気の伊達男音楽集団、勝手にしやがれのドラマー/ヴォーカリスト。昨年末のワンマン・ライヴを収めたDVD「勝手 at 九段 ~2008.12.11. you don't know what "LIFE IS..." at 九段会館大ホール~」での興奮も冷めやらぬなか、このたびタワレコ30周年を記念した初のソロ・シングル“至福の空 ~NO MUSIC, NO LIFE.~”(tearbridge)をリリースしたばかり(詳しくはこちら!)。最新の情報は〈www.katteni-shiyagare.com〉でいますぐチェック!!