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第84回 ─ でぶコーネリアス

連載
SPOTLIGHT!
公開
2009/09/16   18:00
ソース
『bounce』 314号(2009/9/25)
テキスト
文/土田 真弓

ヤリ逃げか! おもしろ度絶頂で散った愛すべき5人の置き土産に悔し涙!

  初ライヴが銀杏BOYZの前座だったとか、ヴォーカル・千秋(男)の高校の卒業式当日にコーネリアスと2マンを行ったとか、昨年の〈フジロック〉では〈ROOKIE A GO-GO〉に出演したとか……そんな数々の逸話を持つ彼らは、観客とのコミュニケーションが芸術的に空回りするステージングと、行く先知れずのリビドーを凝縮したポップでファストでハードコアなサウンドが身上(?)の5人組。本誌が発行される頃には、千秋(男)が言うところの〈全力で解散〉済みであるでぶコーネリアスが、ニュー・アルバム『SUPER PLAY』を発表した。これがまた、時空を20年ほど飛び越えてイビツに変形した渋谷系というか、同世代(彼らは今年21歳)からはあきらかに浮きそうな謎の音楽趣味がバーストしている衝撃盤なのである。“EVERYBODY DANCE NOW”“MJ pt.2”などのブチ切れ風オマージュ曲や初々しい女子ヴォーカル(誰?)を迎えたアイドル歌謡まがいのナンバー、〈アイデアの宝庫or墓場〉な音楽ネタの無修正コラージュなどで聴き手の口をあんぐりさせたかと思えば、鏑木創による〈野良猫ロック〉シリーズのスコアを超クールにカヴァーしたりと、やりたい放題の全88トラック。さらに本作はジャケットがすべて手作りのため、売り切れ次第廃盤になるとのこと。最後まで〈やりっぱなし感〉を貫くところが彼ららしくて素晴らしいというか、けしからんというか……そもそも何で解散? エンターテイメントのひとつの形を提示していただけに、もったいない!

▼でぶコーネリアスの作品を紹介。