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第528回 ─ Shing02

連載
NEW OPUSコラム
公開
2009/08/26   18:00
更新
2009/08/26   18:19
ソース
『bounce』 313号(2009/8/25)
テキスト
文/一ノ木 裕之

『歪曲』の世界観を体現するツアーで見せた、彼の素顔とこれからのヴィジョン

  前作から約6年もの歳月を経て完成させたアルバム『歪曲』を携えて、昨年の夏、2か月に渡ってShing02が全国で繰り広げたツアー〈歪曲巡礼〉。このたびその模様がDVDとボーナスCDの2枚組でリリースされた。『歪曲巡礼ドキュメンタリー』と名付けられた本作は、各地にカメラが同行・密着して1本のドキュメンタリーにまとめたもの。30余名にも及ぶ国内外のアーティストとの共同作業によるスケールの大きなアルバムを、Shing02とサポート・ミュージシャンが生の音楽に変えていったツアーの道のりを、Shing02本人や共に回ったバンド・メンバー(そこにはいずれも自身の作品でも知られるエミ・マイヤー、CHIYORIの姿もあり)へのインタヴュー、舞台裏の様子やオフショットなどと共に追っていく。さしたるリハーサルもなく、ハプニングを日々重ねて行われたというツアーでの意外な事実も紐解きながら、ドキュメンタリーはShing02の音楽に対する姿勢や精神も浮かび上がらせ、さらには到達点ともいうべき『歪曲』のさらなる先へと彼の音楽が続いていることを示す。

 そしてDVDに付属されているボーナスCDには、ドキュメンタリー本編のサウンドトラックとなったエミ・マイヤーのピアノ・ソロ3曲と、随所にフィーチャーされた東京・恵比寿LIQUID ROOM公演の音源8曲をセレクトして収録。彼のライヴを音として楽しみたいファンには、ドキュメンタリーに劣らぬプレゼントとなるだろう。