キング・オブ・メロウロックが〈手書きPOP〉に挑むマンスリー連載! 曽我部恵一がいま現在気に入っている作品をストレートにレコメンド。主宰レーベル、ROSEの最新リリース作品と合わせてご紹介します。完成したPOPとセレクション・アイテムは、タワーレコード新宿店の〈曽我部コーナー〉にて展開しますよ! 今月は、いくつになっても聴けるベーシックな2作をご紹介いたします。
この夏もフェスに出ずっぱりだった曽我部さん。〈ロックインジャパン〉直後の、忙しい合間を縫って話を伺って参りました。
曽我部「今年の〈フジロック〉も楽しかったねー。今月はずっとフェスに出てるんだけど、世の中が不況だって言われている割には音楽好きの人が相当数フェスに来ているでしょ。CDが売れないっていう話は一旦置いといて、自分たちはそういう状況でどういう活動をするべきなのかってことは考えましたね」
〈フジロック〉〈ROCK IN JAPAN〉〈サマソニ〉と、この夏もフェスに出ずっぱりだった曽我部さん。 〈いま、自分は何をするべきなのか〉という深いテーマに頭を悩ませつつ、今月は曽我部さんがいくつになっても聴くであろうバック・トゥー・ベーシックなアルバムを教えてくれました。
◆今月の曽我部セレクション
BRUCE SPRINGSTEEN『Born To Run(邦題:明日なき暴走)』Columbia(1975)
曽我部「スプリングスティーンって、『Born In The U.S.A.』のマッチョなアメリカン・ロックのイメージで敬遠されてるでしょ。あのアルバムも、ちゃんと聴けばそういう内容じゃないんだけど、若い子はマッチョなイメージしか持ってない。本当はスプリングスティーンって、ボブ・ディランとパンクの中間みたいな、いい音楽を作ってる人なんだよね。ジャクソン・ブラウンとかニール・ヤングなんかが、どんどんレイドバックしていく時代。パンク直前に、フォーク・ロックのスタイルで街の音楽を作ってたという意味はもっと評価されていいと思う。詩的でクールで、ベタな感じではないロックだよね。僕が中1のときに『Born In The U.S.A.』が出て彼の存在を知って、いまだに聴くもんね(笑)」
VARIOUS ARTISTS『HARD TO THE CORE version1 compiled by D.L a.k.a DEV LARGE』バッドニュース(2009)
曽我部「DEV LARGEが選曲した90年代の日本語ラップ・コンピです。いやー、素晴らしいですよ、当時の日本語ラップは。熱がすごいんです。濃くてなんか漲ってますよね。他にもコンピは出ているんだけど、いま90年代の日本語ラップをもう1回聴くみたいなムードがあるのかな。当時から日本のヒップホップを聴いてはいたんだけど、ブッダ(BUDDHA BRAND)が出てきた時はショッキングでした。これで時代が変わるんだろうなって。この(アルバムの)なかだとKAMINARI-KAZOKU.がいちばんグッときたなぁ。僕ね、この時代のYOU THE ROCK★が好きなんですよ。たぶん同い年なんだけど、アツくて真っ直ぐで。聴きなおして〈いいこと言うなぁ〉って感動しちゃった。いまのヒップホップの状況はそんなに知らないけど、(環)ROYくんとか鎮座DOPENESSみたいな、1つのジャンルに留まらない新しい世代の動きにも期待してます!」