武藤昭平による、〈憧れのアーティストたちと酒場でいっしょに酒を飲んだら?〉――という深夜の妄想話!
26時を回ろうかという時刻。怒髪天の増子直純、エルヴィス・コステロ、そして俺、武藤昭平でテーブルを囲んでいる。と、そこにとても不気味で独特のオーラを放つ男、ドアーズのジム・モリソンが店に現れた。ジムは増子からメールで呼び出されたにも関わらず、こちらの席に交じらずに1人カウンターでバーボンを飲み出した。「こっちに呼ばなくていいんすかねえ。増子兄ヤンがジムさんを呼び出したんでしょ?」。そう訊いた俺に増子が言う。「いや~、放っといていいよ。ジムさんはとてもシャイだからさ。ホントだったら来ないよ、呼び出したって。店に現れただけでも凄いことだよ」。するとコステロ「でも、せっかく店まで来たんやったら、こっちに交じればええのに。変な人やな~」。
そんな会話をしながらジムを見てみると、ストレートのバーボンをかなりハイペースで飲んでいる。時々うなだれたり、何かをジッと見つめたまま動かなかったり。かと思えば笑い出したり、カウンターで寝てみたり。そんなジムを見ながらコステロが一言。「ジムはん、酒の酔いだけやないな~。何かヤッとるで……。あ、そうや、増子はん。今日呼んだ人はこれだけですか?」「ああ、そうだな。あとは連絡つかなかったり都合悪かったり。コステロは?」「わても結構断られましてな。ブラーのデーモン・アルバーン君なんて〈ブリット・ポップは死んだから行かない〉なんてゆうて。関係あらへんゆうてんのに。それとビヨンセちゃんも呼んだんやけど〈プール付きの居酒屋やないと行かへん〉って。そんなんあらへんがな。最近の若い連中はホンマ付き合いが悪うなったな~」「みんなスマン。俺が呼んだジムさんはあんなだし。まあ3人だけど、今日は飲んで遊んで騒ごうや。ガハハハ!」。そう言った増子にコステロがまた口を開く。「あ、でももう1人来ますわ。来たら4人でっしゃろ? 3人で騒ぐより盛り上がるんちゃいます?」「え? 他に誰を呼んだんですか?」。そう尋ねる俺にコステロは答えた。「ミックはん、ミック・ジャガーはんですわ。何か暇やし、ホナ遊ぼうか~ゆうてくれて」。その言葉に増子と俺は思わず顔を見合わせてしまった。
……武藤昭平、あくまでも妄想の話。
深夜の妄想盤
BLUR 『Parklife』 Food/EMI(1994)
〈ブリット・ポップは死んだ〉だなんて、まだそんなこと言ってるんですか? でも、6年ぶりにグレアムさんとも和解したようで、今夏はフェスにも出まくるというじゃないですか。きっとひねくれ者なデーモンさんのこと、素直に〈ライヴのリハで忙しい〉と伝えられなかったんでしょうね。
BEYONCE 『I Am... Sasha Fierce』 Music World/Columbia(2008)
パートのティナ・ターナーさんはさておき、まったく女っ気のないウチの店。もしビヨ様が来てくれたら、どんなに楽しい夜になったことか(それに引き替えジムさんは……)。プールはないですが、〈サマソニ〉終わりにはぜひソランジュちゃんも連れて遊びに来てください!
PROFILE
武藤昭平
ジャズとパンクを融合させたオリジナルなサウンドで人気の伊達男音楽集団、勝手にしやがれのドラマー/ヴォーカリスト。昨年末のワンマン・ライヴを収めたDVD「勝手 at 九段 ~2008.12.11. you don't know what "LIFE IS..." at 九段会館大ホール~」(tearbridge)も大好評。7月18日(土)には代官山・LOOPで武藤昭平withウエノコウジ名義でのワンマン・ライヴを行うほか、バンドでも〈RISING SUN〉への出演が決定! 最新ニュースは〈www.katteni-shiyagare.com〉で随時更新中!!