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第80回 ─ ANIMA

連載
SPOTLIGHT!
公開
2009/07/01   18:00
ソース
『bounce』 311号(2009/6/25)
テキスト
文/宮本 英夫

ちょっとヘンな気分になるけど、それが大きな味の捻くれた新星、現る!

  HEADZ傘下のレーベル、WEATHERといえば、サンガツや□□□などを輩出し、エレクトロニカとポスト・ロックとJ-Popとが交錯するホット・スペースで、レーベル買いしてもおそらく後悔はしない。そんなレーベルが今年のイチ押しバンドに挙げるのが、このANIMAだ。2006年に結成された4人組で、下北沢を中心にライヴ活動を行い、2008年にHEADZ主宰の佐々木敦にデモを送る頃には熱心な支持者を多く得ていたという。

 かくして今回ステップアップを果たし、益子樹(ROVO)をエンジニアに迎え、満を持してリリースされたのがこのファースト・ミニ・アルバム『月も見えない五つの窓で』である。WEATHERには緻密で知的なアプローチを好むアーティストが多く、彼らのサウンドもその要素を踏まえつつ基本的には踊れるロックをめざす肉体的なもの。そしてシンプルなビートの反復と空間エフェクトを駆使した美しいギターの音色は、時にクラウト・ロック、あるいはニューウェイヴを彷彿とさせるスタイルで、メロディーも非常にポップで覚えやすい。が、それを歌うヴォーカルは相当にアクの強いハイトーン、またバンド名や歌詞には2000年代的オタク気質なナイーヴで叙情性に溢れた妄想ワールドが広がっている。最初はそこが気になったものの、聴き進むうちに心地良い気持ちになれたのは、アクの強さを売りにせず時代を超えた生命力を持つ音楽を作ろうという高い志が伝わってきたから。逸材だと思う。