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第501回 ─ LINDSTROM & PRINS THOMAS

連載
NEW OPUSコラム
公開
2009/06/03   18:00
ソース
『bounce』 310号(2009/5/25)
テキスト
文/石田靖博

ディスコ・ダブの黄金コンビが再合体したよ!

  2000年代中盤に盛り上がったディスコ・ダブ。そのひとつの到達点こそ、リンドストロム&プリンス・トーマスの2005年作『Lindstrom & Prins Thomas』だ。しかし同作は、当時の2人が求められていたディスコ・ダブ路線からあえて外れ、黄金期のロックを再生したような空気感の漂う内容であった。以降のコンビ作品はシングル曲をまとめた2007年の『Reinterpretations』のみに止まり、2人はソロ活動を活発化させていく。リンドストロムは自身のレーベル=フィーデリティからの楽曲集、そしてオリジナル作『Where You Go I Go Too』(2008年)を放ち、まさに北欧ディスコ・ダブの深化を推進している真っ最中だ。一方のトーマスは、昨年のR&S復活コンピでアウトランダーのレイヴ・アンセム“The Vamp”をリミックスしたことが象徴するように、レキッズから楽曲をリリースしたり、最近もドイツの名門地下クラブ産ミックス・シリーズ〈Live At Robert Johnson〉の第2弾を担当するなど、テクノ・シーンと密接にリンクした活動を行っている。そんな状況を踏まえて久々に合体した2人が、待望のオリジナル2作目『II』をエスキモーから発表した。前作同様に生音を重視してレトロな空気感を漂わせてはいるが、今回はリンドストロムの北欧ディスコ色とトーマスの現行フロア対応力が見事に融合されているのが素晴らしい。これぞ2009年に鳴らされるべき、文句ナシの大傑作である。