月末恒例、編集部によるこの1か月のオススメ盤〈5月編〉!

今月はこれらを肴にビールを飲みまくりました……な6枚 (Selected by 澤田)
THE HORRORS 『Primal Colours』 XL/Beggars Japan
ドラマーの名前がコフィン・ジョー(ブラジルのカルト・ホラー映画監督)だったりするゴス趣味を携えて、ロウなガレージ・パンクを鳴らしてきた5人組のセカンド・アルバム。ポーティスヘッドのジェフ・バーロウがプロデュースって事前情報だけで、ヤバいことになりそうな匂いがプンプンしてましたが、実際に届けられた音のインパクトは想像以上。まさにポーティスヘッド印のダークでノイジーな音響センスが全編に敷き詰められており、スペースメン3やマイ・ブラッディ・ヴァレンタイン辺りを思い起こさせる、凄まじく過剰なサイケデリック作品となっております。
桑田つとむ 『This Is My House』 ene
マーシャル・ジェファーソンやパル・ジョイといった、ハウス界のオリジネイターたちの楽曲は、むちゃくちゃシンプルでインスタントな作りなのに、なぜこんなにもグルーヴィーで、いつ聴いても新鮮な響きに満ち満ちているのか――という謎のなかに、マシーン・ファンクの本質が隠れている気がしてならないのですが、DJ Quietstormが桑田つとむ名義(なんつうネーミング)で放つ本作は、その〈本質〉をグワシと掴み取ることに成功した傑作なのでは。昨今のダンス・ミュージックと比べて低音が控え目な音像にも「これが真なり」という確信的な意図を感じます。聴き手の身も心もジャックする現代型シカゴ・ハウス!
そのほかのナイス盤をずらりとご紹介!!
ミゲル・アットウッド・ファーガソン&カルロス・ニーニョの『Suite For Ma Dukes』は、天才ビートメイカー=J・ディラが遺した名曲群をなんとオーケストラ編成でカヴァーした話題盤。ディラ作品の特色である浮遊感あふれるハーモニーに着目し、エレガントな弦楽演奏に変換しております。お次は、共にCRUE-Lからの作品リリースで知られる神田朋樹とMIYAKO KOBAYASHIの新ユニット=Songs To The Sirenのデビュー作『Night On The Planet』。フォーキーなアンサンブルにエレクトロニックなビート、MIYAKO嬢の可憐な歌声が美しく絡み合う様に陶然とさせられました。これまでブラーとはまったく縁のなかった筆者ですが、ギタリストであるグレアム・コクソンのソロ『The Spinning Top』には、個人的なツボを突かれまくり。ブリティッシュ・フォーク趣味を全面展開したアコースティック作です。そして、冒頭に紹介したホラーズくらいびっくりさせられたのが、YOMOYAの2作目『Yoi Toy』。えらく先鋭的なサウンドスケープを展開してるのに、歌がスッと身体に入ってくる、このスタンダード・ポップス感は何でしょうか。素晴らしい!
胸キュンにもいろいろあります……な6枚 (Selected by 土田)
THE FIELD 『Yesterday & today』 Kompakt/OCTAVE
良質なミニマル作品を多く輩出するコンパクトからの最新リリースは、トム・ヨークやバトルズなどのリミックス仕事でさらに知名度を上げたフィールドの2作目。バトルズのジョン・スタニアーがドラムで参加した表題曲をはじめ、前作と比して生音が多く織り込まれた本作は、時には水面で揺らぐように、時には銀世界で乱反射するように、時には虹色に輝くように――と、しなやかに変化する光源そのものを音像化したかのよう。シューゲイザーもアンビエント・ミュージックもミニマル・マナーで融和させたサウンドは、甘美でありながらどこか切ない白昼夢へと誘ってくれます。
MODERAT 『Moderat』 Bpitch Control
エレン・アリエン率いるビッチ・コントロールのなかでも実験性の高いサウンドで人気のモードセレクターと、エレンとのコラボ作を経て自身のソロ『Walls』がヒットしたエレクトロニカ・アーティスト、アパラットによるユニットの初アルバム。ヴィンテージ・シンセの音色が描く幻想的なグラデーションと、ダブ・ステップ風味の硬質なビートが滑らかに絡み合った本作は、もう本当にお互いのいいとこ取りもいいところ。中心を貫くのはリズムのループながら、壮大なドラマ性とロック好きにもアピール可能なダイナミズムを獲得している点が何だか凄いです。
そのほかのナイス盤をずらりとご紹介!!
上の2枚のセレクションの延長線上として、続いてはイパのセカンド・アルバム『They Know What Ghost Know』をご紹介。生音中心となった本作は、シューゲイザー的なギター・ノイズとワイルドなビート、控え目な電子音が幻惑的なサイケデリック・ワールドを構築しています。続いては、カシアスのフィリップ・ズダールを共同プロデューサーに迎えたフェニックスの4作目『Wolfgang Amadeus Phoenix』を。もともと洒脱なサウンドを鳴らす彼らですが、本作では大幅に導入されたエレクトロニックなアレンジが全体にさらなるリリシズムを与えており、激ロマンティックなロック・アルバムとなっております! また、スティールパン、ベース、ドラムスが紡ぐカラフルでファンシーな電子ダブにうっとり&ワクワクすること必至なのが、miimoのニュー・アルバム『miimo 2』。ライヴをぜひ観てみたいです。楽しい一夜を過ごせそう。そして最後は、北の最終兵器、シュリスペイロフ(サカナクションなどの北海道出身の新世代バンドたちがこんなキャッチをつけたそう)のメジャー進出作『もぐる。』を。ノスタルジックなメロディーがじんわりと胸に染みる、くるり好きにはともかく聴いてもらいたい黄昏ロック作品です。