こんにちは、ゲスト

ショッピングカート

NEWS & COLUMN ニュース/記事

第494回 ─ コーネリアス

連載
NEW OPUSコラム
公開
2009/05/21   03:00
更新
2009/05/21   17:40
ソース
『bounce』 309号(2009/4/25)
テキスト
文/岡村 詩野

カラフルな音世界が目と耳を刺激する!


  それにしても小山田圭吾って老けない。いつまでも細っこい少年のままだし、バック・メンバーもみんな若く見えて学生のようだ。メンバーが横一列に並んでいるからか、一瞬、子供たちが発表会か何かのステージに立って、いきなりえらい高度なアンサンブルを聴かせているようにも感じる。そのギャップがおもしろいのかもしれない、なんてことをふと思った。

 昨年3月に東京国際フォーラムで行われたライヴ映像を中心とした2枚組DVD「SENSUOUS SYNCHRONIZED SHOW」。ほとんどフュージョンのような曲もあれば、フォークトロニカ調、ハード・ロック風まで幅広い曲調もさることながら、何より小山田のギター・テクとセンスの良さに驚かされる。アート・リンゼイ、ローレン・マザケイン・コナーズ、マルコム・ヤング、バート・ヤンシュなど曲ごとにさまざまな名前が浮かんでくるものの、ここまで一人でいろんな奏法ができるなんて日本人ではそうそういるまい。なのに、固い質感の音色に統一感があるから、どんな演奏でもすぐ彼だとわかるし、ギターの音ひとつで楽曲がカラフルになる。映像や照明を駆使しているから生で観た人は視覚的に持っていかれただろうが、ここでは手元が映される瞬間もあってそれがまた刺激的だ。DVDと同時リリースされる坂本龍一からジェイムズ・ブラウンまでを集めたリミックス作品集『CM3』もおもしろいが、彼自身のギターが聴こえてきてこそのコーネリアスであることをいまさらながらに再認識した。