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第101回 ─ Perfume @ 代々木第一体育館 2009年5月10日(日)

連載
ライヴ&イベントレポ 
公開
2009/05/14   16:00
更新
2009/05/19   15:08
テキスト
文/澤田 大輔

 もはや説明不要の人気&知名度&評価を獲得したテクノポップ・アイドル、Perfumeのワンマン・ライヴ〈ディスコ! ディスコ! ディスコ!〉が5月9日(土)と10日(日)に代々木第一体育館にて開催された。延べ約25,000人を動員した二日間のうち、5月10日(日)の公演の模様を、bounce.comでは詳細にレポートいたします!

  この4月にライヴDVD「Perfume 『BUDOUKaaaaaaaaaaN!!!!!』」をリリースしたばかりのPerfume。このDVDに収められた昨年の日本武道館公演を上回る規模で開催されたのが、代々木第一体育館を舞台にした2デイズ・ワンマン・ライヴ〈ディスコ! ディスコ! ディスコ!〉だ。その2日目、5月10日(日)の公演に足を運んだ。

巨大な会場に足を踏み入れると、そこは約12,500人の大観衆でぎっしり。当日の猛暑のせいか、期待に胸を膨らませまくった人々の熱気ゆえか、場内はうっすらと靄がかっており、そのなかを、まるでアンコール待ちのような割れんばかりのハンド・クラップが鳴り渡っている。オーディエンスの息はぴったり、開演に向けた臨戦態勢もばっちり。そして定刻をやや過ぎた頃、会場中央の巨大なミラーボールが上昇し、青いスパンコールが眩しく光る衣装に身を包んだPerfumeの3人が降臨。「うおおおお!!」という男衆の怒号と「キャー!!」という女子の嬌声が混じり合うなか、最新シングル“ワンルーム・ディスコ”のシーケンスが流れ出した。

  きらびやかなシンセが上空に舞い、大会場ならではの豪快な音圧のビートがみぞおちを深く揺さぶる。そしてオートチューン・ヴォーカルで歌われる傷心ガールのロンリネスな物語が胸を締め付ける。Perfumeのキュートなダンス・ミュージックは、会場がデカければデカいほど、音量がデカければデカいほど、その輝きを増す――そんなことを思いながら体を揺らしていると、2曲目は早くも最高峰のキラー・チューン“ポリリズム”。タイトル通りのポリリズムを聴かせるブレイク部分で大歓声が湧き上がり、会場はのっけから沸点に到達。息を付く間もなく“シークレットシークレット”が畳み掛けられ、続く“edge”で3人は会場中央のステージに移動。ミニマル・エレクトロなサウンドに合わせて、ロボティックなダンスが繰り広げられる。当然のごとく盛り上がりっぱなしなわけで……暑い、暑過ぎる! 

そんな嬉しい悲鳴を上げたくなるタイミングで、いい塩梅に最初のMC。「かしゆかです!」「あ~ちゃんです!」「のっちです!」「3人合わせて……(会場全員で)Perfumeです!」という恒例の挨拶でクールダウン。あ~ちゃんが「前回のライヴは武道館で、もう半年も経ってるんだって感じですけど、今日は代々木第一体育館。武道館より大きいです。今日の成功は、みんなにかかっとる。隅から隅まで、一人残らず楽しんでって!」と盛り上げれば、のっちは「今日は昨日より暑い! 開演前に何があったの?って感じ」と、早くも汗だく。かしゆかは、お客さんのコスプレ率の高さに関心しているご様子。

会場中のコール&レスポンスを賑々しく成立させたところで、本編に復帰。あ~ちゃんの「次は“コンピューターシティー”!!」の声と共に、代々木第一体育館は再び超巨大なディスコへと変貌して行く。ブイブイと唸るシンセ・ベースが気持ちよい“plastic smile”、そして美麗ミドル・チューン“マカロニ”。モニターにはステージ上の3人がモノクロで映し出され、その美しい光景がメランコリックな感情を喚起する。


  2度目のMCで3人は、会場中央に伸びた3本の通路を行き来しながら、オーディエンスの観察行脚へ。9mm Parabellum Bulletのタオルを掲げたお客さんにツッコミを入れたり、何故か阪神タイガースの帽子をゲットしたり、露出過多のギャルを心配しつつ、「今日は一種の出会いの場ですから、出せる人はどんどん出しちゃって!」(あ~ちゃん)とのたまったり……。こんなユルいひとときもまた、彼女たちの醍醐味。テレビ・ショッピングばりにツアー・グッズのプレゼンまでかっちり済ませる辺りに卓越したMCスキルを感じます。

“love the world”“SEVENTH HEAVEN”と、過剰な昂揚感をもたらす2曲を経たところで、何やら大仰な電子音が響き渡る。ここで、〈エスキモー pino〉のCMソングとしてオンエア中の新曲“NIGHT FLIGHT”を披露。これまで〈テクノ・ポップ〉を標榜しつつ、むしろ現行のエレクトロニックなダンス・ミュージックに寄り添って来た彼女たちだが、この曲では、まさに往年=80年代初頭の国産テクノ・ポップを下敷きにした、歌謡フレイヴァー濃厚なサウンドを展開。Perfumeのニュー・モードを伺わせる逸品に、オーディエンスも最高潮のテンションで応える。

  3人が赤白ストライプの衣装にチェンジしたところで投下されたのが、〈代々木ディスコMIX〉と題された、今回の2デイズ公演だけのスペシャル・セット。“おいしいレシピ”や“コンピュータードライビング”“スウィートドーナッツ”など初期のナンバーを中心とした8曲が、クイック・ミックスで次々に繰り出される。原曲とはかなり異なるアレンジが施されたサウンドがなんとも新鮮。3人がターンテーブルを操る姿を捉えたモニター映像がまたキュートで、場内をさらに爆発させる。

  3度目のMCで、あ~ちゃんは「こんな大きな会場でやらせてもらえるなんて、ホント幸せなことだと思います」と感涙モードに。そして、のっちが「ライヴは終わりが近づいてるんですけど、まだ踊り足りてないですよね?」と煽ったところで“Dream Fighter”に突入し、ライヴもいよいよ佳境へ。“パーフェクトスター・パーフェクトスタイル”のサビでは会場中の腕が掲げられ、“ジェニーはご機嫌ななめ”では、「のっち!」「あ~ちゃん!」「ゆかちゃん!」とコールが轟く。とどめの“チョコレイト・ディスコ”で、会場は崩壊寸前のカオティックな状況に。そして、ギター・ポップ的な軽快なサウンドを聴かせる“Puppy love”で本編は大団円を迎えた。

  この時点で開演から2時間をゆうに超えていたが、無論これで終わるはずもなく、アンコールがスタート。オレンジの鮮やかなドレスに身を包んだ3人は、まず「ここで大きな大きな告知があります!」と、7月8日のニュー・アルバム発売と、8月から10月にかけて、11都市17公演をまわる大規模なホール&アリーナ・ツアーを開催することを宣言。夏へ向けてのさらなる盛り上がりを予感させると、ライヴ恒例のテーマ曲“Perfume”を披露。ピースフルなコール&レスポンスがフロアに最後の熱狂を吹き込んだ。そして本当のラストは、異色のミディアム・バラード“願い”。ステージに腰をかけたかしゆかとのっち、凛と立ち、情感を込めて歌うあ~ちゃん。しっとりとしたメロディーが、代々木体育館の広大な空間に広がり、彼女のたちにとって最大級の規模となった2デイズ公演は幕を下ろした。

この日にアナウンスされた今夏の全国ツアーは、ニュー・アルバム収録曲を中心にしたセットが予想されるわけで、初期のシングル群や『GAME』の楽曲の大半を惜しげもなく投入する、これまでのような流れのライヴ・セットは、もしかしたら今回が最後となるのかもしれない。ゆくゆくは〈第一期Perfumeの集大成〉なんて形容されるんじゃないかと思わせる2時間30分だった。

Perfume 代々木第一体育館ワンマンライブ2DAYS〈ディスコ! ディスコ! ディスコ!〉
セットリスト

1. ワンルーム・ディスコ
2. ポリリズム
3. シークレットシークレット
4. edge(Long version)
5. コンピューターシティ
6. plastic smile
7. マカロニ
8. love the world
9. SEVENTH HEAVEN
10. NIGHT FLIGHT
11. ~代々木ディスコMIX~
12. Dream Fighter
13. パーフェクトスター・パーフェクトスタイル
14. ジェニーはご機嫌ななめ
15. チョコレイト・ディスコ
16. Puppy love

―アンコール―
17. Perfume
18. 願い

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