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第488回 ─ LIGHT, MELLOW & ...

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NEW OPUSコラム
公開
2009/05/07   16:00
更新
2009/05/07   17:44
ソース
『bounce』 309号(2009/4/25)
テキスト
文/出嶌 孝次

季節は巡ってもソウル・リイシューは続くよ!

 同情するなら金をくれ!とか古すぎてフレッシュな呪文を唱えたくなるほど、相変わらずソウルの復刻は旺盛です。初めにタワレコ×HMV×ディスクユニオンの共同リイシュー企画〈Light Mellow's Picks〉をドッと紹介しましょう。ライト・メロウの達人こと金澤寿和が監修したハズレなしの5品であります。まずは今月特集したマーヴィン・ゲイ繋がりで推薦したいのが、リオン・ウェアの全面プロデュースしたシャドウの80年作『Shadow』。彼らはオハイオ・プレイヤーズから分派したビリー・ベックらによるトリオで、今作は柔和なファンクからレゲエ、AORの領域にまで踏み込むスマートなメロウ・マナーを聴かせた初夏向けの爽風盤なのです。世界初CD化ですよ! 続いてはエムトゥーメイのレジー・ルーカスが結成したサンファイアの82年作『Sunfire』で、アーバンなNYサウンドが芳しい一枚。レジーがマドンナのデビュー作を仕掛けるのと同時期に、こんな洒脱な作品が生まれていたのですね。さらにはアイズレー・ブラザーズの85年作『Masterpiece』も久々に復刻。長兄オーケリーの遺作にして、ここからロナルドのセンシュアル路線が極まっていくのですね。また、少し毛色の違うところではシックのバーナード・エドワーズが残したソロ作『Glad To Be Here』を。ジョセリン・ブラウンやルーサー・ヴァンドロスが参加した、本隊以上にシックな黒い逸品です。で、5枚目はBB&Qバンドにいたカーティス・ヘアストンの86年作『Chillin' Out』。デジタル全盛期といった感じのサウンドに華やかな歌いっぷりがスタイリッシュそのものであります。

 で、そんな推薦シリーズ以外にもリイシューは膨大でして、フルーティーなジャケだけで欲しくなるアイザック・ヘイズの76年作『Juicy Fruit(Disco Freak)』だったり、ブレイク前のフリーダ・ペインがMGMに残していた66年作『How Do You Say Don't Love You Anymore』だったり、ディープな歌い口が美しいサンドラ・フェヴァの81年作にいろいろ加えた『Savoir Faire Plus』だったり、マストなあれこれだらけです。最後は、過去に3曲だけCD化されていたPファンク別働隊、USミュージック・ウィズ・ファンカデリックの蔵出し音源集『U.S. Music With Funkadelic』。72年録音ならではの、サイケ・ソウル全開なドス黒いグル~ヴに腰が抜けますよ!