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第23回 ─ London

連載
グディングス・リナ の Delicious Dishes
公開
2009/04/23   16:00
更新
2009/04/23   17:46
ソース
『bounce』 308号(2009/3/25)
テキスト
文/グディングス・リナ

グディングス・リナが世界の〈音楽〉と〈料理〉のお皿2枚使いで贈る、〈音食同源〉コラム!!


  ロンドンといったら、イギリス音楽といったら、引き合いに出せる偉大な例があまりに多すぎて途方もない。昨今のグラミー席巻にしても、イギリス勢はどの時代を切り取ってみたところで、具だくさんの太巻きだ。紹介したい盤も、好きすぎる盤も、あまりに多い。これはどんなミュージシャンに訊いてもそうだろう(そして食べ物のこととなると、これとはまったく逆の現象がおこります)。だからやっぱり自分の好みや専門性(そんなものあったっけ?)のところまで手繰り寄せ、そして他の誰が声高に言うでもないことを言わないと仕方ないよなあ……。

そこで今日はひとつパンクについて。といってもいわゆる共通認識としての、ジャンルとしてのパンク音楽のことではナシに、〈気持ちとしてのパンク〉について。これはすごく個人的な見解、いろいろズレているかもしれないことを承知で(そもそもパンクも時代で意味合いがかなり違うのだけれど)言わせてもらえば、それは日本人にとっての〈粋〉と近い精神のように考えられはしないかと。本来の意味でいうと、パンクは洗練を嫌い、粋は洗練を求めるという違いがあるのだけれど、それは背景の違いからくる方言的な違いみたいなもので、むしろ根本精神としては両者ともメインストリームたる何かに対する批判、精神的な主張から成り立っているというところに共通点があるように思う。平たくいえば〈野暮はゴメンだぜ〉というところである。

ところで〈パンク〉たるものは、中心(多数派)になった時点でパンクではなくなってしまう性質も含んでおり、地下や周辺でしかなかなかその熱量を保てないものだ。けれど、最初っから中心で始まる表現なんてあるんだろうか? 〈パンク〉なき音楽なんて、ありえるんだろうか? そもそも表現欲求の取っ掛かりは体制/社会批判でないなら、自己批判でなかったか? あああ、熱くなりすぎですかね。そういうことを思い出させてくれるところがいまなおイギリス音楽にはあるから、この点においてだけはお箸がそちらにばかり動いてしまうのです。

コロネーション・チキンの詳しいレシピなどはこちら
http://www.goodingsrina.com/blog/
  この料理は美味しくてお手軽という、その奇跡具合がパンクです(こじつけ)。

RECIPE コロネーション・チキンといっしょに堪能したい、今月のDelicious Dishes!!!


THE CULTURE CLASH 『Two Culture Clash』 Wall Of Sound(2004)
イギリス音楽の魅力は、スキンズやジャングルなどカリブ系の移民文化とのクラッシュ具合が時代時代で進化を遂げているところ。その手の内容でこの盤はピカイチ(注:現在は廃盤)。

VARIOUS ARTISTS 『Box Of Dub』 Soul Jazz(2007)
ダブ・ステップはここ最近、さらにおもしろくなっています。ディープでいかついものだけでなく、開放的なもの、ラガ度の高いものなど。そして他ジャンルを意識した、横断的な潮流もそろそろ……。

MACHINES DON'T CARE 『Machines Don't Care』 Machines Don't Care(2008)
最近のもうひとつの潮流といえばフィジェット・ハウスあたり。とはいえ、この盤のなかでは客演のドロップ・ザ・ライム(US)が実はいちばんパンクなので、今後の動向にも要注意。

PROFILE

グディングス・リナ
グディングス・リナ
格好良いゴッタ煮ビート音楽を作り出すシンガー・ソングライター/トラックメイカー。カヴァー・アルバム『The Nightbird』(ビクター)も大好評! 3月下旬以降のライヴ情報は〈http://www.goodingsrina.com/〉にて随時更新中。また、「4月は渡英してきま~す!」とのこと。