武藤昭平による、〈憧れのアーティストたちと酒場で酒を飲んだら?〉――という深夜の妄想話が第四夜に突入!!
日を改めたある夜中。時刻は23時を回ろうかという頃。その日のスタジオだったり、打ち合わせだったり──まあ、仕事を終えてまた〈Bar YAMAGA〉に立ち寄った俺。癖というか馴染んだ行動というか。真っ直ぐに家に帰ることなく、何の違和感もなく、またこの店に入ってしまう。
だが、今日はある男からの呼び出しでここに来た。俺はカウンターに座りビールを注文。そのビールが手元にきた瞬間、入り口の扉が開いた。そこに立つ男に向かって俺が言う。「お疲れ様っす」「おお、武藤。お疲れお疲れ。待ったか?」「いいえ、そんなに」「そうか良かった。ガハハハ」。怒髪天のヴォーカル、増子直純である。その増子がビールを注文しながら俺に話しかける。「なんか最近〈YAMAGA〉でおもしろいことあったか?」「ああ、この間ザ・フーのキース・ムーンさんとジャズ・ドラマーのジーン・クルーパさんと飲んでて」「それで?」「ミュージシャンで誰と誰が似てるかって話で盛り上がったんですよ」「ほ~う。例えば?」「ジャズ・ドラマーのバディ・リッチさんといかりや長介が似てるとか、キース・ムーンさんと荒井注が何となく似てるとか」「ナハハハッ。お、ビールがきた。武藤、とりあえず乾杯しよう」。グラスを交わしながら増子が話し出す。「それいいなぁ。そのまんまミュージシャンでドリフのそっくりさんバンドが組めんじゃねぇの?」「ああそうだ。ポリスのアンディ・サマーズさんの鼻から下が高木ブーに似てるって案も出ましたね」「他には?」「いや、特には」「……」。しばらく考えた2人。そして増子が閃いた。「あのさあ、志村けん役にオアシスのリアム・ギャラガーっていいんじゃねえ!?」「そ、そうっすか?」。さらに増子は続ける。「で、加藤茶にはザ・フーのロジャー・ダルトリーな、ヴォーカルの! 仲本工事はエルヴィス・コステロ……いや、バディ・ホリーでいいか」「仲本工事役の人って黒ぶちメガネってだけじゃないっすか?」と俺。「おお、いいな。ミュージシャン・ドリフ。今年の〈RISING SUN〉のエゾイストのステージで、そのメンツ呼ぶか! なぁ、武藤」「いや~呼べないでしょう。つうか増子兄ヤン、今日は何の用件で俺を呼び出したんすか?」。
……武藤昭平、あくまでも妄想の話。
深夜の妄想盤
OASIS 『Dig Out Your Soul』 Big Brother/Epic(2008)
人気No.1の志村役を務めるのは相当な重圧だと思いますが、ロック界のカリスマ=リアム君ならきっと大丈夫! ノエルじゃ末っ子キャラは出せないですしね。かつてビートルズの前座を務めたドリフを、〈現代のビートルズ〉の代表格がパロディー化──想像しただけでワクワクします!
BUDDY HOLLY 『From The Original Master Tapes』 MCA
学習院卒という学歴を知らずとも、仲本工事から溢れ出る知性は容易にキャッチできるはず。で、作詞作曲の他にも、ギター編成のバンド・アレンジまで発明したバディさんは、ロックンロール・シーンにおいて極めて〈仲本工事的〉なわけですね。増子さん、深い!
PROFILE
武藤昭平
ジャズとパンクを融合させたオリジナルなサウンドで人気を博す伊達男音楽集団、勝手にしやがれのドラマー/ヴォーカリスト。レーベル移籍後初となるニュー・アルバム『マイ・ライフ...』(tearbridge)も大好評リリース中。現在はウエノコウジとのジョイント・ライヴを精力的に行っているとのことで、4月18日(土)金沢・EIGHT HALLでのギグも決定している。その他の最新ニュースは〈www.katteni-shiyagare.com〉で!!