今度はあなたたちですか。働く男たちがついにカムバック! 大迷惑……いや、大歓迎です!
80~90年代に活躍したバンドが続々と復活を遂げる昨今。なかでも最大級の人気と音楽性の高さを誇り、その後多くのチルドレンが登場した彼らの再始動が、2009年の幕開けと同時にアナウンスされた。言わずもがなの奥田民生、ソロ・ワークと並行してプロデュース仕事でも腕を振るう阿部義晴、Madbeaversの新作も昨年末に発表した堀内一史、BIG LIFEなどのバンド活動のほか、セッション・ギタリストとしても活動中の手島いさむ、そしてジェット機などにも参加していた川西幸一から成る5人組=ユニコーンが、16年ぶりにまさかの新作リリースである。
先行シングル“WAO!”ではジミヘンのコスプレ、ニュー・アルバム『シャンブル』のジャケでは映画「時計仕掛けのオレンジ」×ディープ・パープル『Burn』のパロディーという謎のヴィジュアル展開からしてかつての飄々とした遊び心は健在だが、実際にアルバムを聴いて何より驚いたのは、解散前のサウンドに充満していたバンドの空気感がそのまま保存されていたことだ。ロック・クラシックのあれこれを過剰にデフォルメして詰め込んだスラップスティック的な“WAO!”や、大陸的なスケール感で冒頭とラストを飾る“ひまわり”“HELLO”、ハード・ロッキンなオッサン賛歌“オッサンマーチ”など、全員が作詞/作曲を手掛け、ヴォーカルも取る。それでもこの16年間に各々が鳴らしてきた音とは違う耳触り――ユニコーン以外の何物でもないサウンドとして響くのは、この5人で音を出すことの意義が間違いなく存在しているからだろう。ヒリヒリとした蒼さやカタルシスなどとは別の次元で、純粋に音を楽しむことができる大衆性を伴ったロックンロールが、ここにはある。確固たるロックンローラー志向を、皮肉と冗談交じりのアイデアを、ここまで巧みにエンターテインできるバンドはなかなか見当たらない。この後の動向は不明だが、マイペースに作品を発表し続けてほしい……。
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