グディングス・リナが世界の〈音楽〉と〈料理〉のお皿2枚使いで贈る、〈音食同源〉コラム!!

正直言って、アンゴラという国のことをよく知らない。旅したこともない。大統領なのか首相なのか、王様がいるのかさえも知らない。おそらくここを読んでいるみなさんもそうじゃない? 今回は右のアルバム紹介でも登場する、巷で気になる音〈クドゥロー〉をきっかけに、ただそれだけをきっかけにアンゴラを語らねばならなくなってしまった。大変! ここで唯一の救いとなる発見=クドゥローの歌詞ってポ、ポル語?→ポル語といえばポルトガル領→ポルトガル領といえばブラジル→ブラジルのことならまあまあ知ってるかも!
──そこで文明のウィキじゃなくて利器、ウィキペディア検索などもしてみるとナルホド、そもそもブラジルへ多くの奴隷を連れ出したといわれているのがこのアンゴラだったのです。ちなみにこの両国、日本が真ん中の地図だと気付きにくいけど、大西洋を隔ててお向かいさん。実は南米にあるアフリカ要素の強い文化のいくつか(カポエラやサンバ、タンゴまで!)は、アンゴラからの黒人奴隷たちの文化が起源なのだそう。ふ~ン、クドゥローはソカに似てるな~と思ったけれど、〈ソカ=ソウル+カリプソ〉だって手繰っていけばアフリカ起源。なんだ、それもこれも必然、it began in africaってことか!
さて、ポルトガルには〈郷愁〉を意味するところの〈サウダージ〉なんていう、日本でいうなれば〈もののあはれ〉のような感覚があり、これは当然アンゴラでも親しまれている。サウダージはボサノヴァ独占にあらじ。となるとブラジル音楽のサウダージ感が大好きな日本人、きっとアンゴラのことも好きになれる可能性があるよ。うん、機会さえあれば。でも、機会がないじゃん……ってそんな時のためのこのコラムじゃん! いざ料理。日本では主にシュラスコ屋さんで食べられる〈ブラジル料理〉と思っていたものの多くが、アンゴラにもあるある。今回作ったムアンバと副菜のファロッファも、両国共に代表メニューにして、なかなか日本にはない味覚発見物語。それにしてもいろんな文化の根っこだったことも知らず、ごめんよ、アンゴラ。電子音とファロッファにまみれて再確認すべし、it began in africa!
ムアンバとファロッファの詳しいレシピなどはこちら
http://www.goodingsrina.com/blog/
RECIPE ムアンバ&ファロッファといっしょに堪能したい、今月のDelicious Dishes!!!
FREDERIC GALLIANO 『Kuduro Sound System』 Nocturne(2006)
中南米とアフリカのサウンドが遠戚ってことはわかっていても、それを現在進行形の音のなかで発見するのはやっぱり楽しい。フレデリック・ガリアーノもディプロもきっとそうだよ。
MANYA 『Made In Angola』 Nocturne
BPM140越えのファンキをイメージすると、にわかにクドゥローとサンバが繋がってくる。こちらは耳に優しく、ちょっぴり幅広く、クドゥロー界隈を眺められるマンヤのベスト盤。
BURAKA SOM SISTEMA 『Black Diamond』 Fabric Integral(2008)
アフロなエレクトロ~なんて形容を追い越して、レイヴにして〈これぞ黒い!〉と感じさせてくれる、クドゥローを代表するアーティストのニュー・アルバム。大好きです。
PROFILE
グディングス・リナ
格好良いゴッタ煮ビート音楽をクリエイトするシンガー・ソングライター/トラックメイカー。2009年1~2月にはカヴァー・アルバム『The Nightbird』(ビクター)を引っ提げて、〈大都市をNightbirdはゆくツアー〉を開催するとのこと。詳細は〈http://www.goodingsrina.com/〉にて!