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第19回 ─ Columbia

連載
グディングス・リナ の Delicious Dishes
公開
2008/11/13   20:00
ソース
『bounce』 304号(2008/10/25)
テキスト
文/グディングス・リナ

グディングス・リナが世界の〈音楽〉と〈料理〉のお皿2枚使いで贈る、〈音食同源〉コラム!!


 世界音遊紀行〈Delicious Dishes〉も17回目。ローカル音楽に料理の紹介、DJとしてのダンス・ミュージック探求。そもそもなぜにシンガーやソングライターとしての研鑽/楽器練習などにあっても足りない時間を、わたしはかように費やしているのだろう? この分裂行動が何らかの実を結んでいるかどうか、正直まったくわかりません。けれど、皆が直線を急ぐならヘンテコな道を選ぶのもまた一興、無駄なことではないと信じたい。にしても、そんなわたしに連載をさせてるbounceは偉スギだ!

 昨今の金融不安だの食料汚染だのエコまでもかな、世に蔓延るビジネス。ビジーネス。BUSYに追われる人々、巡り巡って得た心の貧しさは何なんだろうね? BUSYが美学になると他人のことを顧みなくなるのか? 考え出すと本当にマイってしまいます。ここを読んでるあなたにもそんな時があることでしょう。そんな時、例えばわたしはダンス・ミュージックやあまり見向きもされない民族音楽に、刹那の気晴らしを探してみたりします。知的どころかむしろ頽廃的、だけれど血の沸くようなビート。あてずっぽのくせに胸を掴むメロディー。民族音楽にロング・スパンで受け継がれてきた〈何か〉っていうのは、ただ我を忘れて踊る時間の大切さぐらいのことかもしれない。それはとりもなおさず〈ビジーであること拒否宣言の時間〉であり、必要な時間なんだ。奏でている人のなかにはヒドい環境で育った人、根っからの悲観屋だっているに違いない。だけど鳴らされた音楽は人生が〈祝うべき祭り〉だっていうサインを世界中に送ってくれている、はず──と大真面目にぶったところで珍妙な一品を。コロンビアのファストフード、バナナのチーズ焼き。または揚げ。withケチャップ。って何それキモ……いやいや騙されたと思って食べてみて~。未知なる笑える旨さ保証いたします。そしてクンビア。これを聴くと、ななな、コレでいいのか?と疑問邪念の渦の先で次第にコレでいいのだ!っとなる不思議。昨今では遊び心に輪をかけてデジタル・クンビアなんていう進化型の音楽も生まれてますが……ってそんな大仰なことじゃナイナイ。微笑ましい牧歌具合も健在。それは日常を祝う何とも健康的なふてぶてしさなんだ。急がばユルめとばかりに。

マデュロコンケソ(揚げバナナ)の詳しいレシピはこちら
http://www.goodingsrina.com/blog/

RECIPE マデュロコンケソといっしょに堪能したい、今月のDelicious Dishes!!!

VERY BE CAREFUL 『Salad Buey』 Downtown Pijao(2007)
ラテン音楽に溢れる生命力がむしろ苦手っていう人もいるでしょう。でもクンビアは何か違うみたい!? 牧歌の如きユルさのなかには、哀愁も漂っている。ちょっと間抜けでニクめない奴なんです。

DICK EL DEMASIADO 『Sin Pues Nada』 Tomenota(2008)
この阿呆らしさはナンナンダ……って、あなたオランダ人!? 巡り巡って辿り着いたのはなんとも無意味パラダイス。いたずらしているうちに、いつのまにかレゲエと仲良しになってしまった確信犯!?

QUANTIC PRESENTA FLOWERING INFERNO 『Death Of The Revolution』 Tru Thoughts(2008)
クアンティックがコロンビアへ移住して録音した盤。クンビアではないけれど近い説得力(=ユルさ)が眩い、トロッピカル・アルバム。真面目におすすめ。

PROFILE

グディングス・リナ
ヴァーサタイルなクロスオーヴァー・ポップをクリエイトするシンガー・ソングライター/トラックメイカー。DJセニョリーナ名義でDJ活動も展開。カヴァー・アルバム『The Nightbird』(ビクター)も好評リリース中! 年内も精力的にライヴを行うとのことで、そちらも要チェック!!