魅惑のハーモニーが織り成す、ちょっぴりアダルトなメロディー

抑制の効いたトラック、シックな風合いを持つメロディー&ハーモニー、叙情的なエモーションを感じさせつつも、十分に洗練されたリリック。メジャー・シーンのド真ん中で勝負できる親しみやすさと、コアな音楽ファンを満足させるだけのクォリティーも併せ持ったニューカマーが登場した――それが、Asu(ヴォーカル/キーボード)、Greg(ラップ/ヴォーカル)、Kaz(ヴォーカル)から成るThe New Classics。同じインターナショナル・スクールに通っていた彼らが生み出す音楽は、平均年齢19歳という若さがちょっと信じられないほどの熟練ぶりが感じられる完成度を誇る。そのことはファースト・ミニ・アルバム『BIRTH』からしっかりと感じてもらえるはずだ。
幼い頃から70~80年代のソウル・ミュージックに触れてきたというAsu、クール&ザ・ギャングのオリジナル・メンバーであるジョージ・ブラウンを父に持つGreg、ヒップホップ/R&Bに精通しているKaz。そのルーツからもわかるように、彼らのサウンドにはブラック・ミュージックのテイストが宿っている。しかし、それはあくまでもひとつのテイストに過ぎず、その魅力の中心は3人が紡ぎ出す〈歌〉にある。夢を追うことの素晴らしさ、難しさを描いた“星も飛ばされそうな”、秋の情景のなかで切なくも愛おしい恋を映し出す“Love in Fall”。彼らは「僕らはクラブにもほとんど行かないし、かなり地味な生活をしていて。だから、派手な曲が作れないんですよ」と笑うが、豊かな情感を含んだソングライティングこそが、The New Classicsの核なのだ。幅広い層へアピールできる、質の高いポップスメイカーの登場を心から喜びたい。