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第423回 ─ The Clash

連載
NEW OPUSコラム
公開
2008/10/30   02:00
更新
2008/10/30   17:36
ソース
『bounce』 304号(2008/10/25)
テキスト
文/鈴木 智彦

長い時を経ても心に突き刺さる音楽


  クラッシュが82年に行ったライヴの未発表音源が『The Clash Live At Shea Stadium』として初作品化。録音からすでに四半世紀が経っている。だが、本作を聴き進めていくうちに、その音楽の背景にあるものが〈グローバリゼーションによって抑圧された人々の側に立つ抵抗の姿勢〉であることを実感。そして、レゲエやヒップホップを果敢にロックのなかに融合していったバンドに対し、深いシンパシーを寄せた経験を持つ人間にとっては、彼らの存在を過去の思い出のなかに葬り去ることなど到底できず、常にその音楽が心のどこかで鳴り続けていることだろう、とも感じた。曖昧さなど微塵もない、敵に向かって闘いを挑み続けたクラッシュのあまりに生々しくリアルな〈生〉の記録。ジョー・ストラマーが亡くなった年齢にもうじき差し掛かる僕にとっては、彼から届いた拳骨みたいな作品だ。きっとあなたにとってもそうであるに違いない。