グディングス・リナが世界の〈音楽〉と〈料理〉のお皿2枚使いで贈る〈音食同源〉コラム……のニセモノ!!
肉は美味しゅうございましたけれども、音楽は別腹です。秋の夜はまだまだ長いのです。そんなわけで今宵はもう一品、いかがでしょうか? という折に、ぜひ聴いていただきたいのがこのアルバム。そうそう、ドナルド・フェイゲンの……じゃなくて! わたしのノンストップ・カヴァー・アルバム『The Nightbird』ですよ……ってグディングスさんのフリをしようと思ったけど、怒られるからヤメ! 人の真似は難しいよね。ディフィカルト、ディフィカルト♪ ということで、これまでにもジャミロクワイや岡村ちゃんのカヴァーを披露してきた彼女ですが、今回は曲間にオリジナル・インストも挿んで快い流れを作りつつ、古今東西の10曲をカヴァー! まずはラッツ&スター“め組のひと”を夏の残り香が漂うようなスウィングで聴かせ、そのまま電気グルーヴ“Shangri-La”~米米CLUB“sure dance”を秋ジャズでしっとりと調理。ファレル“Frontin'”での切なげな歌唱も、涼やかなレゲエ・ビートを従えたマルーン5“Sunday Morning”も心地良く耳に流れ込み、ポリスの“Every Breath You Take”は軽快な足回りで駆け抜けていきます。そして、サンボマスター“世界はそれを愛と呼ぶんだぜ”をサンバで……と、〈愛〉をテーマにした夜更けの名曲選ですね。意図的なのかどうか、ポリスにしろ電気にしろ、メロディーとアレンジが分かちがたく結び付いたような曲を選んでいるのも興味深いところ。その成果は聴いてのお楽しみですよ!
RECIPE 『The Nightbird』といっしょに堪能したい、今月のDelicious Dishes!!!
橋幸夫 『スイム! スイム! スイム!』 ビクター
近年も迷曲“盆ダンス”を残すなど、チャレンジ精神旺盛な大御所。これは大瀧詠一が監修したリズム歌謡時代のナイスな明朗コンピで、ここからリナさんは超でたらめな名曲“恋のメキシカン・ロック”をスパイシーにカヴァー!
BARBEE BOYS 『Listen! Barbee Boys 4』 エピック(1987)
今年に入って再結成し、夏フェス出演も果たした80年代の名バンド。まったくフォロワーがいないだけにいま聴いてもフレッシュなこの最高傑作から、リナさんは“泣いたままでlisten to me”を披露。イイ曲!
QUEEN 『The Day At The Races』 Parlophone(1976)
ノンストップ・カヴァーの大団円は、ここからピックアップされた“Somebody To Love”の穏やかなワルツ・カヴァー。オペラ風の原曲が一瞬で吹き飛ぶ大胆なお手前です。なお、邦題は〈愛にすべてを〉。
PROFILE
グディングス・リナ
センシティヴでカッコイイ折衷ビート歌謡をクリエイトするシンガー・ソングライター/トラックメイカー。DJ活動の際の名義はDJセニョリーナ。昨年リリースの『大都市を電車はゆく』(ビクター)はもう聴いてるよね? 詳細は〈www.goodingsrina.com/blog/〉をチェックしてみて!