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第13回 ─ こどもたちのための音楽

連載
曽 我 部 恵 一、 POP職 人 へ の 道
公開
2008/09/18   18:00
テキスト
文/bounce.com編集部

ご存知〈キング・オブ・メロウロック〉こと曽我部恵一のマンスリー連載! ご自身のお店〈City Country City〉でも素敵な〈手描きPOP〉を作っている曽我部氏が、タワーレコードのPOPを担当。独自のテーマでCD/DVD/書籍をチョイスし、その作品のPOP作りに挑みます。完成したPOPとセレクション・アイテムは、タワーレコード新宿店の〈曽我部コーナー〉にて展開……というWEB&店舗の連動企画! さて今月のセレクション・テーマは〈こどもたちのための音楽〉です。

プライヴェートでは3児の父でもある曽我部さん。今月は、子供たちに聴かせたい/一緒に聴きたい音楽をセレクトしていただきました!

DANIEL JOHNSTON『Yip/ Jump Music』

曽我部「ダニエル・ジョンストンはメロディーがすごくポップだし、〈みんなのうた〉の音楽みたいなところもあるからいいんじゃないかな。でも子供と聴きたいというよりも、本人が子供みたいな人だよね。映画の「悪魔とダニエル・ジョンストン」を観たとき、ほんとそう思ったな。この人こそアーティストって感じ。このアルバムに入ってる“Speeding Motorcycle”をパステルズがカヴァーしていて、それが彼を知るきっかけになったんだよね。僕らの世代だとそういう人は多いんじゃないかな」。

REINBERT DE LEEUW『Satie:Gnossiennes. Gymnopedies. etc.(ジムノペディ、グノシェンヌ~サティ:ピアノ名曲集)』

曽我部「これは実際に、一人目の子供が生まれたときによくかけてた音楽。その頃は、仕事もそんなにしてなくて穏やかな生活をしていた時期で、(エリック・)サティばっかり聴いてたんだよね。ラインベルト・デ・レーウはオランダのピアニストで、僕は何十枚もサティのレコードを持ってるんだけど、この人の演奏が一番好き。サティは現代音楽だし原曲っていうのがないから、知らない盤があると全部買っちゃう。僕はサティをオリジナル・パンクスだと思っている。最初のミニマリストだし、反社会的ですべてに対してアンチだったし、アカデミックな方向には進まないで庶民の音楽としてやっていたところも、みんなひっくるめてパンク的。一番好きなミュージシャンを訊かれたら、僕は迷わずサティを挙げてる。それは昔から変わらない」。

少年ナイフ『ゴールデン☆ベスト 少年ナイフ Universal Hits』

曽我部「まさに子供と聴きたい音楽。食べ物の歌とかが多いのもいいんじゃないかな。(山野)直子さんの歌って、英語だったりもするし、決して子供に向けられてるものではないんだけど、でもすごくシンプルで無垢。なんの飾り気もない。こういう音楽って珍しいよね。ずうっと変わらない。だからずっと聴いてたいし、やっていてほしい。日本の宝でしょう。でも、いまの若い人たちにあまり浸透していってないのがちょっと腹立たしい。海外で人気とか、カート・コヴァーンが好きだったとか、そういう部分ばっかりクローズ・アップされがちだけど、世界中の誰もが好きになれる音楽だと思うから、みんなもっと聴いて欲しいよね」。

細野晴臣『泰安洋行』

曽我部「細野さんの作品で僕が一番好きなのは『HOSONO HOUSE』なんだけど、子供的な視点だとこれが一番いいんじゃないかなあ。いわゆる〈おもちゃ箱を引っくり返した~〉みたいな音楽だから、その辺がハマるんじゃないかと。色んなリズムが入ってるし。で、ちょっと不思議で不気味な部分もあるじゃない。だから遊園地のお化け屋敷とか、夜店の見世物小屋とか、ああいうドキドキさせられる冒険感っていうのもすごく詰まってるよね」。

LITTLE RICHARD『Rip It Up! The Hits And More 1951-57』

曽我部「リトル・リチャードは、ストレンジな音楽としてのロックンロールの代表格。彼は子供が観たら面白がるんじゃないかな。あんな声を張り上げて歌ったり、髪を振り乱してピアノ弾いたり、化粧もしてるし。〈変なおじさん〉だよね。オリジナル・ロックンローラーって色々いるけど、僕はバディ・ホリーもエルヴィス・プレスリーもそんなに興味がなくて、彼が特別に好き。もう一人挙げると、ボ・ディドリーかな。あの人も変だからねえ。ギターの形も四角だし(笑)」。

ナイアガラCMスターズ(大滝詠一)『Niagara CM Special』

曽我部「CMソングのオンパレード。これは子供も喜ぶし、ばっちり一緒に楽しめるんじゃないかな。短い曲がいっぱい入ってるのがいい。このアルバムはほんと大好きで、これまでに何曲もカヴァーしてるんだよね。大滝さんの一番おいしい要素がゴロゴロ転がってる作品。いわゆる普通のアルバムじゃないけど、このノベルティー路線があってこその大滝さんなわけで」。

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