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第15回 ─ Trinidad

連載
グディングス・リナ の Delicious Dishes
公開
2008/07/31   23:00
ソース
『bounce』 301号(2008/7/25)
テキスト
文/グディングス・リナ

グディングス・リナが世界の〈音楽〉と〈料理〉のお皿2枚使いで贈る、〈音食同源〉コラム!!


  今回のテーマはトリニダード・トバゴ。夏だからってアラまあ、安易!……なんておっしゃらずに、いっしょに楽園に思いを馳せてみましょ。さて、楽園といえば〈甘い果物が勝手に育つかどうか〉が、その土地の楽園能力を示す目安になるかと思うのですが(←乱暴)、常夏の南国はその環境にもっとも近いといえます。もしも勝手に果実がなる土地に生まれたならば、人々の働きも当然ゆるやかに。だって、実がなったら取って食べればいいんだもんね。そんなにあくせく働く必要もなかったんじゃないかしら、なんて太古の姿を夢想するのです。踊って食べて眠って食べて、欲望のまま…‥それってナチュラルに貴族的!? まあ実際、そこらになった実を食べるだけで踊って暮らせる世界なんていまはほぼないでしょうけれど、せめて音楽の中ではそんな楽園の夢を見たいもの。わたしの中ではそんな夢を見させてくれる音楽のひとつが、ソカやトリニダード・トバゴの音楽だったりするのです。移民の音楽の多くが反骨の、レベル・ミュージックの要素を持っていたとしても、それが軽やかな楽園の音楽になることだってあるかもしれない。踊りたいままに、もう島民みんな心は貴族(←乱暴パート2)。

 さて、反省に冷水を浴びたところでお腹が空いたので、トリニダードの国民的ご飯の蓋を開けてみました。すると、あたり一面マサラの香り……。トリニダード・トバゴにはアフリカ系と同じくらいのインド系移民がおり、カレー勢力が絶大。今日は当地でも人気のファスト・フード、汁気のないカレーを二枚の皮ではさむ〈ダブルス〉を作ってみることにしました。やけに洋風の名前ですが、要するにインドにおけるカレーとプーリーの変化形みたいなもの。1コでもダブルス。ちなみに辛すぎないのが現地流だそう。これ、外で踊りながら片手で食べられますね。わたしならそうしますとも!

 追記☆ カリブの中でもインド文化の影響が濃く、独特の豊かな音楽や文化が生まれているという点で、東南アジアの中のバリ島の存在を思い出すのはわたしだけでしょうか? バリにガムランあれば、トリニダード・トバゴにスティール・ドラムあり。そしていちばんの共通点はどちらも楽園に最寄りの島ってこと。

ダブルスの詳しいレシピなどはこちら
http://www.goodingsrina.com/blog/

RECIPE ダブルスといっしょに堪能したい、今月のDelicious Dishes!!!

VARIOUS ARTISTS 『Soca Gold 2008』 VP(2008)
スコールのち快晴──底抜けにアッパーな高速リズムにキャッチーなメロディーの曲たちがこれでもかと入った名物ヒット・コンピ。ソカ・ビギナーの入門、最新ソカのチェックにもオススメですよ。

EARL RODNEY 『Friends & Country-men』 em(1973)
スティール・ドラム誕生期から活動するパン奏者が当時NYで活動していた仲間を集め、自由な環境下で作ったというアルバム。よりアフロな、いまどきのソカ盤からの想像を覆す土っぽいソウル作品。

J'Ouvert 『ハバネロペパーソース』 ON THE BEACH(2004)
ジュベとはトリニダードのお祭り。実際に現地の祭りにも参加した経験のある彼らが奏でるカヴァー曲、なかでも〈G線上のアリア〉が好きです。また活動再開してくれないかしら。楽園音楽愛好家のあなたに。

PROFILE

グディングス・リナ
ヴァーサタイルなクロスオーヴァー・ポップをクリエイトするシンガー・ソングライター/トラックメイカー。〈DJセニョリーナ〉名義でDJ活動も展開。新作『大都市を電車はゆく』(ビクター)が好評リリース中で、現在は夏を満喫中。最新情報は〈http://www.goodingsrina.com〉で!!