ウクレレの大御所が送り出した新旧の名品で味わう、心地良いハワイアンの〈昨日と今日〉
オータサンの師匠としても知られるウクレレ奏者、エディ・カマエの関連作を3枚まとめて紹介しよう。まずは、過去の名演に新録曲を加えた変則的なニュー・アルバム『Yesterday & Today』。あえて新旧の楽曲を織り交ぜてその対比を楽しく聴かせながらも、不思議と統一感のある美しい内容となっている。残る2枚はリイシューで、ひとつは偶然出会ったギャビー・パヒヌイとエディが結成したサンズ・オブ・ハワイの初作『Gabby Pahinui With The Sons Of Hawaii』(62年)。存在感のあるギャビーの歌とギターが最高に気持ち良い仕上がりだ。もうひとつは世界初CD化の66年作『This Is Eddie Kamae』で、ギャビーが偶然スタジオに来なかったためにエディのソロ名義になったという逸話もある一枚。アッタ・アイザックがギターを弾き、エディ自身が苦手なヴォーカルを担ったことで、逆にそのナイーヴな歌声の枯れた味わいが知られるようになったわけだ。以上3枚、変わらぬ美しさを見せる新作と、偶然から生まれた過去の名盤たち……高層ホテルがなかった頃のワイキキを思って聴いてみたい。
▼文中で登場した作品を紹介。