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第12回 ─ India #2

連載
グディングス・リナ の Delicious Dishes
公開
2008/05/15   23:00
ソース
『bounce』 298号(2008/4/25)
テキスト
文/グディングス・リナ

グディングス・リナが世界の〈音楽〉と〈料理〉のお皿2枚使いで贈る、〈音食同源〉コラム!!


  前号の続き。ブッダガヤにて現地インドの家庭に泊まっていることが危険だと忠告を受けたわたしは、さすがに荷物を置いて身体ひとつで逃げることはできず、〈事情があって帰国が早まった〉というような理由を彼らに伝えて、〈見送りはいらないから〉とすぐに荷物をまとめた。いま思えばそこまでたっぷりお世話になっておきながら、急に遠慮する姿はあきらかに不審! でもそのとき頭の中では〈この界隈じゃちょっと大きいこの新築の家も旅行者から奪ったお金で……!?〉とか、玄関先に置いてある灯油のボトルに〈殺されて……燃やされる!?〉などと、あらゆる景色に過剰妄想。そんななかでの演技は、わたしのなかの〈女優〉が瞬間最大風速だったはず。とはいえ不自然にならないように精一杯努めたところで、もしもホントの悪人ならお見通し&手遅れだったのでは……。ラッキーなことに、わたしは荷物をもってひとり駅まで辿り着けたのだから!

 とりあえず追いつかれまいと、短距離の列車に飛び乗り、乗り継ぎながら次の大きな街・ヴァラナシへ。されど予約無し=席無しの乗車、冬の8時間を超える移動は身にこたえ、ヴァラナシでは安堵と共に発熱。泊まった宿の主人がいろいろ手助けしてくれて、ほっと一息。回復してからは宿の人が街の案内を買って出てくれたので、今度はきちんと事前にお礼をお支払いする。それは大した額じゃないにせよ、やっぱりね、万国共通タダより高いものはないのでございます。

 このインドでの珍事……事実だけ眺めれば、あの家族は本当に親切だったのかもしれないし、ま・さ・か!忠告のおかげで無事に帰ってこれたのかもしれないし、いまとなってはわからないのです。怖かったと同時に、親切にしてくれた人を疑った後味の悪さもあるわけで……ん? お人好しは誰だ?

 さて、こんなことがあったけど、またインド人に会ったら疑うかといえばそんなことはナヒーン。もしもあのとき出会った人を信じなかったら、わたしはインドの家庭でカレーを作ったりすることもなかったわけだしね。ま、命がけのカレー作りなんてスパイシーな旅は誰にもオススメしませんけど!

インドカレーの詳しいレシピなどはこちら!
http://www.goodingsrina.com/blog/

今度はアナンダ・シャンカールの70年作『Ananda Shankar』(Reprise/Collector's Choice)。この頃からずーっと新しさを求めていたんですね。

PROFILE

グディングス・リナ
ヴァーサタイルなクロスオーヴァー・ポップをクリエイトするシンガー・ソングライター/トラックメイカー。アルバム『大都市を電車はゆく』(ビクター)が好評リリース中。