シティー・ポップの現在進行形を担う注目アーティストにクローズアップ!
70年代後半~80年代に盛り上がったシティー・ポップ→90年代初頭に一大ムーヴメントとなった渋谷系→90年代後半にはキリンジや冨田ラボらシティー・ポップを継承する面々が登場――そして現在もこの〈都会派サウンド〉を更新するアーティストが活躍中だ。ここではそんな彼らが続々とリリースした新作を紹介しよう。
まずは〈下北沢の冨田ラボ〉とも評されるソングライター/ベーシストの松本“Makkin”俊郎が、腕利きのプレイヤーを集めて結成したMakkin & the new music stuff。前作『Makkin & the new music stuff』は多彩なゲスト・ヴォーカリストたちを迎えて話題となったが、新作『FIRST SONGS』ではソウル・シンガーのNanamieを全編で起用。ギターのメロウなフレーズとピアノの豊かな音色の絶妙な駆け引きに唸らせられるサウンドに彼女の伸びやかな歌が絡んだ、グルーヴィーでフリー・ソウル的な作品となっている。続いてはそのMakkinも参加するサンゼンのEP『夕方から雨』。くるりを思わせる叙情系メロディーが乗ったギター・サウンドが爽快な表題曲に胸キュンだ。
また、公私に渡って曽我部恵一と親交の深いシンガー・ソングライター、関美彦の新作『Girl Blue』にも注目! その曽我部が詞を提供した2曲をはじめ、聴き心地は洗練されているのに、どこか乾いた土臭さのある優しい耳触りの楽曲、人柄が表れたようなフワリとした歌声は都会の良心(?)とも言えるだろう。さらにサニーデイ・サービスを手掛けたディレクターも惚れたというシンガー、mingussの溌剌さも聴き逃せない。デビュー作『super sonic sound』に詰まったロック色も窺える華やかなサウンドは、凛とした彼女のムードにマッチ。子供好きのする賑やかさもあり、アニソンとしてもイケそう?
そしてCymbalsらと並んで〈ネオ渋谷系〉世代のバンドとして登場したrisetteが、新シンガーを迎えて5年ぶりにリリースする新作『risette』をぜひ紹介したい! セルフ・タイトル作で心機一転!という印象ながら、ギターのアルペジオと軽やかなアンサンブルが煌めくネオアコ曲は無理に新しさへ走らず堅実で高品質。こういうバンドがマイペースながら素晴らしい作品を届けてくれるのは、新世代にとっても心強いことだろう。このように個性はさまざま、素敵な歌も続々。シティー・ポップの未来は明るい!